大学医学科「地域枠」に欠員
中国地方5県が国立大医学部医学科の今春の一般入試で設けた「地域枠」のうち、島根を除く4県の合格者数が定員割れとなった。地域医療に携わる意志のある人材を優先して入学させる仕組みで、各県が予算化していた奨学金が宙に浮く事態となっている。
欠員は、広島県1人▽山口県1人▽岡山県3人▽鳥取県2人。いずれも2月の国立大一般入試前期日程で設けた募集枠に対し、合格者数が下回った。
地域枠は、合格者が卒業後6~9年間、県が指定する病院に勤務するのを条件にしている。在学中の6年間は、月額10~20万円の奨学金が支給される。
広島県は、広島大5人と岡山大2人の地域枠を設けていた。岡山大は志願者3人のうち、1人しか合格しなかった。
岡山県は岡山大に設けた地域枠7人のうち4人しか確保できなかった。鳥取県は、山口大の地域枠1人に志願者がいないなどし、計2人が欠員となった。
行き場を失ったのは、合格者に支給するはずだった奨学金だ。山口県は、新年度予算案に8人分の奨学金8640万円を盛り込んでいたが、欠員1人分の1080万円は必要なくなった。
一方、広島県は4月以降、岡山大医学部医学科に入る県出身者に対し、欠員1人分の奨学金の利用を呼び掛ける方針だ。