『北國新聞』2012年3月5日付
北陸で高度がんプロ 文科省が採択内示
金大、金沢医科大、県立看護大、富大、福井大の5大学が、今年度で終了する北陸がんプロフェッショナル養成プログラムを発展、拡充させ、2012年度から5年計画で「北陸高度がんプロ」事業を新たに開始することになった。過去5年間の事業で構築した三県の大学、がん診療連携拠点病院、患者団体とのネットワークを生かし、がん専門医、看護師などの高度な人材育成やがん情報提供などの地域貢献事業を手厚く展開し、北陸のがん医療向上を目指す。
金沢市文化ホールで4日開催された北陸がんプロ市民公開講座(北國新聞社主催)で、全国がんプロ協議会の松浦成昭会長(阪大大学院教授)が、文部科学省から5大学申請事業採択の内示があったことを明らかにした。
文科省はがんプロ事業の後継となる「がんプロ養成基盤推進プラン」として新年度政府予算案に21億円を計上、北陸など全国15の大学グループに配分する見通しである。
2007年度から始まった北陸がんプロ事業では、大学院教育でeラーニングを使った学習システムやテレビ会議システムなどを構築した。
この5年間で、がん治療認定医が39人から274人、がん看護専門看護師がゼロから6人、がん薬物療法専門医が3人から25人に増え、北陸がんプロ独自の認定医、認定看護師なども大幅に増加した。人材養成の成果とともに、著名人らを招いた市民公開講座などの地域貢献も評価されたとみられる。
「北陸高度がんプロチーム養成基盤形成プラン」と名付けた新年度からの事業では、教育改革、地域貢献、研究者養成を3本柱とし、がんプロに特化した講座の増設、医療リーダー養成へ向けた単位互換制度、休職中の看護職を対象にした復帰プログラムなどを実施する。患者団体との連携をさらに強化し、患者本位の「北陸版モデル」定着を図る。
全国がんプロ協議会の松浦会長は「市民の声、患者の声を反映し、マスコミとも連携した北陸がんプロは、全国でも高い評価を受けており、第2期の事業でも、地域のがん医療充実へ、さらに成果を発揮してほしい」と述べた。