『大分合同新聞』2012年2月8日付
大分大、新学部を検討
大分大学が新学部の創設に向けて検討を始めたことが8日、同大への取材で分かった。少子化が進む中、地域のニーズに応じた教育・研究分野に乗り出すことで、学生や地域にとってより魅力的な大学にするのが狙い。分野や設置時期は未定としている。学生数の拡大や教職員の増員は財源的に難しいことから、既存の学部を再編する形になりそうだという。
国内の大学は少子化に伴い“冬の時代”を迎えている。学生を確保するための競争が激化。各大学は生き残りを懸け、地域貢献などで特色ある大学づくりに努めている。
昨年10月に就任した北野正剛学長は、大分大を大分における「知の拠点」と位置付け、社会のニーズに応えるための組織改革に取り組むと明言。大学運営では「入学者の数を確保し、特色ある教育、研究、医療の確立などが不可欠」とし、教育では「学生に地域や社会から求められる付加価値を与え、社会に貢献できる人材を育成することが急務」との考えを示していた。
同大によると、新学部創設に向け、教育改革担当の椋野美智子副学長が中心となって情報収集を開始。学内や行政、産業界の意見を聞きながら方向性を模索している。最終的には大学設置・学校法人審議会の答申を踏まえた文部科学大臣の認可が必要となる。
椋野副学長は「地域の意見を聞く中で、地元国立大学への期待の高さを感じている。受験生にとっても採用する企業にとっても魅力ある、地域のニーズに応じた学部にしたい」と話している。
<ポイント>大分大学
1949年、大分師範学校、大分青年師範学校、大分経済専門学校の3校が統合されて誕生(学芸学部、経済学部)。66年に学芸学部を教育学部に改称、72年に工学部を設置、99年に教育学部を教育福祉科学部に改組。2003年に大分医科大学と統合、04年に国立大学法人となった。現在、教育福祉科学、経済、工、医の4学部があり、学生数は大学院を含め計5770人(昨年5月1日現在)。