『朝日新聞』2012年1月8日付
教員志望者、首都圏から 秋田大教育文化学部が東京で今春入試
秋田大学教育文化学部(定員290人)が今春、入試を初めて東京都内で行うことになった。全国学力調査で小中学生の好成績が続く秋田県だが、秋田の優れた教員養成力を売りに、教員志望者を首都圏から呼び込むほか、県内出身者が多い学部生に刺激を与える狙いもある。
文部科学省の全国学力調査で、秋田の小中学生の成績は上位が続いている。10年の調査では大半の科目で1位だった。同大によると、県内の小中学校教諭は、約7割が教育文化学部の卒業生。先生の指導力、ひいては教員養成力が好成績の一つと自負する。
昨年あった公立学校の教員採用試験の競争率は秋田県が9.7倍。東京都の4.5倍など首都圏の倍率は秋田の半分程度だった。東京での試験実施で優秀な学生を確保し、さらに首都圏の学生なら、出身地で教員になれる確率も高いとみている。また同学部は県内出身者が6割を占めるが、吉村昇学長は「県外出身者を5割程度までに増やしたい」と話している。
同大では、工学資源学部が前身の秋田鉱山専門学校として初の学生を受け入れた1911(明治44)年から東京で入試を行っている。入試課によると、教育文化学部の2月25日の前期日程を江東区の臨海副都心のビルで行う。出願時に東京会場を選べるが、会場の都合で先着100人に限る。工学資源学部も同じ会場で行う。県内の予備校は「倍率や難易度に大きな変化はないと思う。第1志望に選んでもらうために、秋大はもっと熱心に首都圏でPRする必要があるだろう」と話した。
県内の国公立大では、国際教養大が札幌や仙台、東京など6会場、県立大が仙台やさいたまなど3会場で入試を行っている。