『読売新聞』山形版2012年1月6日付
最先端がん治療など目標 山形大学長が行動計画
山形大の結城章夫学長は、5日の記者会見で、同大の2012年の行動計画「結城プラン2012」を発表した。重粒子線による最先端がん治療施設を東北地方では初めて同大付属病院に設置することなど、計65項目の目標を掲げた。
同大医学部によると、重粒子線治療は、通常の放射線治療よりも大きい粒子を加速し、がん細胞に照射して死滅させる治療法。体の表面は傷つけずに前立腺がんや肺がん、膵臓(すいぞう)がんなど体の深部のがん治療に効果を発揮する。体を切らずに、1、2回の照射で治療が可能という。
2004年から導入を目指してきた装置で、資金調達のめどがつけば3年以内に稼働が可能という。施設の規模は3600平方メートル程度で、総建設費は約150億円。全国的には群馬大など3施設で導入されている。
山下英俊医学部長は、「年度内に、大学、行政、医療界、財務の専門家による検討会議を設け、設置形態や資金計画の検討を始めたい」と話した。
結城プランではこのほか、物質の状態変化を観測できる放射光施設の設置を目指すことや、自立分散型社会システムを考える「東北創生研究所」で学際的な研究を進めることなどを掲げた。