『毎日新聞』2012年1月4日付
東大:「古代ハス」ゆかりの研究施設、財政難で売却検討
約2000年前の古代の香りが楽しめる「大賀ハス」の種の保存・研究を続けてきた東京大学緑地植物実験地(千葉市花見川区)について、法人化による東大の財政難のあおりで、3月末での閉鎖、売却が検討されていることが分かった。大賀ハスは千葉市の花に指定され、市民に身近な存在。「ゆかりの場所を残せないか」との声が高まりそうだ。
大賀ハスの種は1951年、東大旧検見川厚生農場内の遺跡から植物学者の故大賀一郎氏が発見。開花に成功し、「世界最古の花」として米ライフ誌でも取り上げられた。種子は全国へ移植され、千葉県の天然記念物にも指定されている。
同農場はその後、東大総合運動場などになったが、大賀ハスの数百種とされる系統種の保存・研究は、隣に開設された同実験地で続けられてきた。ところが、東大などによると、予算不足や人員削減による施設集約のため、同実験地の閉鎖と売却が決まった。ハスの保存・研究は西東京市にある東大の施設に移す計画という。
地元自治会は08年から11年にかけ計約5万人の署名とともに千葉市へ存続を要望してきた。【荻野公一、森有正】