『朝日新聞』2011年7月29日付
業者への預け金、年度末に集中 教授らの不正経理疑惑
約60大学・短大の教授らによる研究費の不正経理疑惑で、教授側から出入り業者への「預け金」の入金時期が、2月と3月の年度末に集中していることがわ かった。預け行為を認めた教授は「余った研究費を返したくなかった」と説明。業者の関係者は、教授との取引を続けるために「年度末には各大学を回って、 余った研究費をかき集めた」と証言している。
朝日新聞が入手した資料は、実験器具などを関東中心の大学に納入している東京都内の精密機器卸会社が、教授ら約330人との取引内容を記した「預かり金 明細書」など。教授側からの入金のうち、具体的な日付がわかる約1100件を調べたところ、全体の6割にあたる約650件が2月と3月に集中していた。
資料に名があった東京農大の教授は預け行為を認めたうえで、「余った研究費を返すと、翌年度以降の予算が削られる。かといって無駄な物を買うわけにもいかなかった」と釈明する。