東北大、留学生国外避難の余波(下)国際水準維持に黄信号『河北新報』2011年5月1日付

『河北新報』2011年5月1日付

東北大、留学生国外避難の余波(下)国際水準維持に黄信号

 <教員27人帰らず>

 世界的な研究実績を誇る東北大にとって、外国人の研究者や留学生は研究成果を上げる大きな推進力であり、研究室に活力を与える存在でもある。

 東北大が雇用している外国人の教授や准教授らの教員は322人(非常勤含む)。このうち、144人が原発事故後に国外へ避難し、4月28日現在、27人がまだ戻っていない。

 東北大人事課の植垣健一課長は「無断で欠勤しているわけではないため、現段階では服務規程には違反していない」と判断する。

 ただ、長期間の指導教員の不在が、研究や教育に与える影響は決して小さくはない。

 大学院理学研究科の福村裕史研究科長(理学部長)は「海外との交流が、研究成果の原動力になっている。交流が生み出す研究水準の高さが魅力となり、さらに多くの優秀な外国人研究者や留学生がやってくるという循環を維持することが、震災後の大学の復興には必要不可欠だ」と強調する。

<正しい情報発信>

 外国人教員や留学生の帰国は、東北大だけでなく、東日本の大学を中心に起きた。

 筑波大では、帰国したままの人がいるものの、「4月13日から新学期が始まっていることもあり、大半の外国人教員、留学生は戻ってきた」(広報室)と説明する。

 福島大は175人の留学生のうち、半数以上が海外に避難したままだが、「連絡を取り合った手応えとして、12日の講義開始の前後には大半が帰ってくると思っている」と今井賢司学生課長は語る。

 福島大の場合、原発と同じ「Fukushima」の名称から、今後、海外の研究者や学生から敬遠されるのではないか、と懸念する声もある。

 今井課長は「正しい情報を世界に発信し、大学の活力でもある外国人留学生を従来通り呼び集めたい」と気を引き締める。

◎日本信じている、大丈夫

ミャンマー出身仙台残留

東北大大学院国際文化研究科研究員・ソーシュエさん(41)

 ミャンマーには大きな地震はないので、とてもびっくりした。4月7日の余震では妻が逃げる際、足を骨折した。

 原発事故が起きてからは、国際交流会館にいた人はほとんどが避難した。でも、私は日本を信じているし、仙台の人たちも皆逃げていないので、大丈夫だと考えて会館に残った。

 地震から2週間ほどして、大学の研究室を片付けた。研究は多少遅れたが、既にデータ解析を終えていたので、影響はあまり大きくはない。

 外国人は放射能の問題にとても神経質になっているが、まだ戻ってきていない人もいずれは戻って来ると思う。東北大は研究水準が高く、先生方も素晴らしいから。

 これからは食べ物の汚染が心配だ。早く、原発事故が収束してほしいと願っている。

◎早く研究をしたかった

マレーシア出身一時帰国

東北大大学院理学研究科博士課程3年・ハニス・モハメド・ユソフさん(29)

 地震の時は、一緒に留学している夫と東京にいた。原発事故が怖くて、仙台にいた研究室の友人らに相談したが、「危ない」というアドバイスだったので、3月15日、仙台には戻らず、東京からマレーシアに帰国した。服2枚、本1冊だけという状態だった。

 日本が好きで、研究もしたかった。だから、早く戻りたかったが、原発事故はマレーシアでも連日大きく報道され、親は随分と心配していた。研究室から「もう大丈夫」との連絡があり、4月26日に仙台に戻った。

 大学の被害は大きかったようだが、私の実験設備は使えるようなので、この間の研究の遅れを挽回したい。

 放射能汚染の問題もあり、この先、食べ物には気を付けたい。シーフードは食べないようにしようと思う。

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