理系の女性教員3倍増プロジェクト…広島大『読売新聞』2010年11月30日付

『読売新聞』2010年11月30日付

理系の女性教員3倍増プロジェクト…広島大

限定公募や学内保育園 5年計画育児と研究の両立支援にと開設された保育園(広島大東広島キャンパスで)

 広島大が理、工、農学分野で男性に比べて少ない女性教員(教授、准教授、講師、助教)を、今年度から5年間で3倍に増やすプロジェクトを進めている。

 学内保育園の開設などで育児と研究の両立を支援し、女性に限定した公募を始めるなど毎年6、7人ずつ増やし、2014年度末までに現在の3倍の51人にする考え。能力ある女性教員の増加が、研究の活性化につながると期待している。

 広島大の教員は全体で1576人おり、女性は176人で11・2%。ただ、理、工、農学分野に限ると、全教員494人のうち17人と3・4%に過ぎない。

 理学研究科の相田美砂子教授は「理系の女子学生は学部で20%弱、大学院でも15%いるが、女性教員が少ないことで研究者になるのが難しいと感じ、将来の選択肢から外してしまう学生もいる」と指摘する。

 そうした中、同大学は07年、募集要項に「実力が同等の場合は女性を採用」と明記。08年には男女共同参画推進室を置き、さらに同年、学内に保育園を新設した。空いた教室などを使って教員らの子ども(小学生)を春、夏、冬休み中に預かる学童保育や、登録した学生や住民に実験や事務などを手伝ってもらう制度も始めている。

 今年5月には、取り組みが文部科学省の女性研究者養成事業に採択され、補助金3億2000万円を獲得。今年度からは、ほかの大学や学外の研究機関から、女性教員の公募も開始した。

 男女共同参画担当の坂田桐子・同大学副理事は「育児をしながら研究に取り組む女性教員たちの負担を減らし、存分に力を発揮できる環境を整えたい」と話している。

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