『琉球新報』 2014年2月24日付
琉大病院、救急部新築へ 重症患者受け入れ倍増
琉球大学医学部付属病院(國吉幸男院長)が、災害医療を強化するために国の予算を活用し、救急部を病院の隣接地に移転新築することが23日、分かった。4月に着工予定で、早ければ今年末にも開設する。救急専用ベッドを6床新設し、救急専属医を3人増員。重症度が高い3次救急患者の受け入れ人数を、現行の2倍に相当する年間500人程度と目標設定し、救急体制を拡充する。将来、救急救命センターの県指定を目指す構え。
移転新築は、生命に危機が及ぶような重症患者に対応する3次救急機能の強化と、災害時に患者の受け入れができる体制整備が狙い。救急専門医の育成にも力を入れる。
同病院は複数診療科があり、現在も救命救急センターに近い医療を提供しているが、専用病床がないためセンターの設備基準を満たしていない。急患が入院する場合は内科病棟の2床で対応している。しかし、満床時には使えないこともあり、重症患者の救急受け入れを断らざるを得ない事例もあった。
移転新築に伴い、救急専属医師を5人から、8人体制にする。看護師の配置数も増やす予定。観察室と診察室のベッドを増やし、救急車専用の入り口も設ける。
久木田一朗救急部長は、「医師の重症患者を診る力が向上し、専用病床があれば、災害時にも患者をスムーズに受け入れることができる。災害を想定した訓練も実施したい」と抱負を語る。
県内で、救急救命センターに指定されているのは、県立中部病院、県立南部医療センター・こども医療センター、浦添総合病院の3カ所。(高江洲洋子)
<用語>救急救命センター
24時間365日、命に危険のある重症の救急患者を受け入れ、適切な医療を提供する。都道府県知事が指定する。循環器科、脳外科など複数にわたる診療科の医師を確保できる体制を整えている。20床以上の専用病床、日本救急医学会指導医、同学会認定医などの資格を持つ専属医師の配置などが整備基準となっている。