人物本位の選抜促す 入試改革 再生会議近く提言『朝日新聞』 2013年10月11日付

『朝日新聞』 2013年10月11日付

人物本位の選抜促す 入試改革 再生会議近く提言

教育再生実行会議に臨む(右から)安倍晋三首相、鎌田薫座長、下村博文・文部科学相=4月、首相官邸

新たな二つのテストの概要

【村上宣雄】大学入試改革をめぐり、政府の教育再生実行会議(座長=鎌田薫・早稲田大学総長)は11日、これまでの会議の内容をまとめた素案を議論する。「1点を争う競争から、人物本位の選抜への転換」を掲げた内容だ。

素案などによると、現在の大学入試センター試験をベースにした「新テスト」が選抜の第一関門になることは変わらない。眼目は、受験生の成績を1点刻みで集計するのではなく、何段階かのランクで表示することだ。

各大学は、これで「求める学力水準の到達度」を判定。その後は、面接や論文、部活動、ボランティアといった活動歴で受験生の潜在能力をみるなど、「多様で丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加」を強く求めている。

 

また、素案は、高校在学中に基礎的な学習の定着を確認する学力テストの創設も打ち出した。いずれも、現在の高校生らには適用せず、5~6年後の実施を想定している。

これまでの会議では「わずかな点差で合否を決めることには意味がない」との意見が多かったという。受験学力重視の入試が変われば、高校で様々な体験を積む余裕が生まれ、生徒の可能性を広げられる、という意見も示されたという。

しかし、実現可能性を疑問視する声は少なくない。面接重視型の入試をすでに実施している大学の教員は「定員を数十人に絞っても大変な労力がかかる」と言う。有名私大では出願者が10万人を超えるところもあり、「実際問題として不可能だ」という声がある。

どんな選抜方法をとるか、最終的な判断は当然各大学に委ねられており、国が縛ることはできない。「新テスト」への参加は自由で、従来通り各大学が別途独自の学力試験を実施することも自由だ。

 

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