医学部新設禁止の告示見直しへ 文科相、被災地を念頭『朝日新聞』2013年10月09日付

『朝日新聞』2013年10月09日付

医学部新設禁止の告示見直しへ 文科相、被災地を念頭

下村博文・文部科学相は、大学医学部の新設を禁じた2003年の文科省告示を改める意向を固めた。大学による医学部新設の申請ができるようになる。安倍政権は当面、東北地方での医学部新設を念頭に置くが、新設を希望する全国の大学から申請を求める声が相次ぐ可能性もある。

医学部新設をめぐっては、文科省が医師の供給過剰で質を低下させないなどとして、1979年の琉球大を最後に認めていない。文科省は03年に出した告示で、改めて大学の認可基準として「医師の養成に係る大学等の設置でないこと」を明記。事実上、一切の医学部新設を禁じたもので「硬直的だ」との批判も出ていた。

安倍晋三首相が4日、復興支援策として東北地方での医学部新設を指示したのをきっかけに、下村氏は、一切の医学部新設を禁じてきた告示を見直すことにした。

現在でも、医学部新設を希望する大学はあり、北海道医療大(北海道当別町)、東北福祉大(仙台市)、国際医療福祉大(栃木県大田原市)などで構想が練られてきた。告示の見直しで医学部開設の申請が相次ぐことも考えられ、今後、医学部の新たな審査基準や、地域ごとの需給バランスを考えた医師養成計画の作成も必要になりそうだ。

医学部新設については、自民党の支持団体である日本医師会などが、かなりの医師を教員として大学に籍を移す必要があり、地域の医療サービスが低下する▽地方の医師不足を解消するのに最も必要なのは医師の偏在をただすことだ――などと反対しており、調整も必要になりそうだ。

 

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