筑波大 40周年…科学、スポーツの拠点 『読売新聞』 2013年9月30日付

『読売新聞』 2013年9月30日付

筑波大 40周年…科学、スポーツの拠点

筑波大学では現在、学生約1万6400人、教職員約4700人が研究活動などに励む 筑波大学(永田恭介学長)は10月1日、創立40周年を迎える。

「筑波研究学園都市」の一角を占め、茨城の「知の拠点」として、科学研究の一定分野で世界をリードするほか、多くのスポーツ選手を輩出してきた。

筑波大は前身の東京教育大が移転する形で、1973年10月、茨城県つくば市に開学した。東京の過密化対策のため63年9月、国の研究機関などを移転して筑波研究学園都市をつくることが閣議了解され、開学もその流れの中にあった。

総合大学としての筑波大は、いくつかの科学技術分野で際だった成果を上げている。藻類を用いた石油生産技術、医療や福祉での活用が期待されるロボットスーツ「HAL」開発や睡眠の仕組み解明に対しては、国の大型予算が投じられている。

研究成果を社会へ生かす取り組みも進む。文部科学省科学技術政策研究所の調査によると、2008年度末時点の大学発ベンチャー(新興企業)設立数では、76社で全国5位。東北大や九州大といった各地方の拠点大学を上回っている。

ゆかりのあるノーベル賞受賞者も、1992~98年に学長を務めた江崎玲於奈博士(88)、79~2000年に教壇に立った白川英樹博士(77)、前身の東京教育大で1956~62年に学長を務めた朝永振一郎博士(1906~79年)の3人がいる。ただ3人は筑波大以前の成果で受賞しており、今後、生え抜きの研究者の受賞に期待がかかる。

1日には記念式典が開かれ、江崎博士と、同じくノーベル賞を受賞した小林誠博士(69)の対談などが行われる。

メダル量産の幹事校務める

筑波大のもう一つの強みはスポーツだ。柔道創始者の嘉納治五郎(1860~1938年)が前身の高等師範学校などの校長を務めた。その伝統を受け継ぎ、五輪とパラリンピックに計91人の学生や卒業生が出場、柔道などでメダリストを誕生させた。サッカーW杯に2回出場した中山雅史さん(46)らサッカー、陸上、バレーボールなどでも名選手を輩出している。

スポーツ研究も盛んで、メダリストの“量産”を目指す文部科学省の「チーム『ニッポン』マルチサポート事業」では幹事校を務める。

永田恭介学長「課題見つけ進歩続ける」

建学の理念で「開かれた大学」を掲げる。

地球規模の人材育成などでは同規模の大学としてトップレベルだと思うが、海外を目指す学生や教員への支援はまだ不十分だ。一例だが、米マサチューセッツ工科大には、学生が発展途上国の課題を見つけて解決するプログラムがある。学生が自らそうしたことをやりたがるような教育を実現したい。

研究には基礎と応用があるが、共に一定水準を保っている。ロボットスーツのような役に立つものを生み出しつつ、宇宙などの謎を解く研究も進める。

地域貢献は率直に言えば不完全燃焼と感じる。つくばは「知の集積」と言われる一方、力を合わせて成果を出すための仕組みがなかった。市や県、研究機関と共にシステム作りを始めたところだ。

筑波大のもう一つの建学理念は「不断の改革」。常に課題を見つけて進歩を続けたい。(談)

 

 

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