弁護士ら、埼玉奨学金問題ネットワーク設立「希望持てる奨学金に」 『埼玉新聞』 2013年9月29日付

『埼玉新聞』 2013年9月29日付

弁護士ら、埼玉奨学金問題ネットワーク設立「希望持てる奨学金に」

大学の学費などを支払うための奨学金制度を考える「埼玉奨学金問題ネットワーク」が28日、弁護士や司法書士、研究者らをメンバーにさいたま市内で設立した。設立に伴い開かれたシンポジウムでは、授業料の値上げや学生の厳しい雇用情勢に加え、日本学生支援機構による厳しい取り立てや延滞金の利率(10%)に批判が相次いだ。

奨学金問題対策全国会議事務局長で弁護士の岩重佳治さんによると、大学在学中、寝たきりになった学生の親が返還の免除申請を申し出たところ、同機構から「でも借りたんでしょ」と言われ、免除の申請用紙すら受け取れなかった例もあったという。

岩重弁護士は「生活保護の水際作戦と同じ。取り立ても厳しく、容赦がない」と同機構を厳しく非難。「学費について(給付ではなく)貸与に頼っている国は珍しい。制度改革に向けて提言していく」と語った。利息や延滞金、個人保証制度の廃止を求めるとともに、国による給付型奨学金の創設や学費の引き下げを要請していくという。

シンポジウムに参加した東松山市に住む中村潤さん(23)は母子家庭で、将来教員を目指し、大東文化大学教育学部に通っている。現在有利子分を含め月10万円の奨学金を借りているという。「将来、奨学金を返せないときのことを考えるとプレッシャーがかかる。学ぶ権利があるのだから、安心して大学生活を送れるような制度がなければならない」と話す。

埼玉ネットワーク代表で聖学院大の柴田武男教授は奨学金問題の現状について「多重債務の問題と同じ。学生の未来を押しつぶす制度になっている」と指摘。「若者にとってもっと希望が持てる制度にすべきだ」と話した。

 

 

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