県奨学金 返還に猶予 未就職、出産も対象に『日本海新聞』2013年4月30日付

『日本海新聞』2013年4月30日付

県奨学金 返還に猶予 未就職、出産も対象に

 厳しい経済情勢や不安定な雇用形態によって、未就職や低所得などの理由から、奨学金の返還が困難な若者が増加している。鳥取県教委は、高校・大学などを卒業後に就職できなかった人や、妊娠・出産・育児を理由に休業した人、生活保護の受給と同程度の低所得者にも返還猶予の対象範囲を拡大し、未納者圧縮に乗り出している。

 県育英奨学資金(高校、大学)は、貸与終了後に返還しなければならないが、奨学生の社会的状況によっては一時的に返還の猶予を認めている。

 これまでの制度では、大学などへの進学▽留年▽失業中▽傷病▽生活保護の受給-などの場合に認めているが、新卒で就職できない人や低所得者の場合は、返還猶予の対象となっていなかった。

 新卒で未就職者だったり、育児休業などの理由で安定した償還計画が立てられない事例が増えていることや、低所得者の修学機会の確保を図り、奨学金返還の不安を解消していくことが求められ、範囲を拡大することにした。

 申請期間は低所得、産前・産後・育児休業の場合はその理由が続いている期間(1年ごとに申請)、新卒・在学猶予切れで無職・未就職の場合は1年ごとに申請、通算5年を限度とする。

 県教委人権教育課によると、債権回収会社へ委託する件数も増え続け、債権額は今後、未納額がさらに膨らむと見込まれる。

 進学奨励資金と県育英奨学金(高校、大学)の2012年度の返還対象者は8千人で、そのうち進学や留年などの理由で201人が返済を猶予された。失業中は12人、生活保護受給4人、傷病は2人だった。対象が拡大されることによって10~20人が猶予される見通し。

 同課の鳥飼敏博課長補佐は「初めから猶予されることが分かっていれば、安心して子育てができ、就職活動もじっくり取り組める」と話し、子育てや就労しやすい環境づくりを整え、未納額の減額につなげたい考えだ。

 11年度に収納すべき金額(債権額)は約7億9千万円で、このうち返済未納額は約3億2600万円だった。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com