「就活 大学4年から」課題は?「青田買い」広がる懸念『読売新聞』2013年4月10日付

『読売新聞』2013年4月10日付

「就活 大学4年から」課題は?「青田買い」広がる懸念

 経団連の米倉弘昌会長は政府の要請を受けて大学生の就職活動の解禁時期をこれまでよりも4か月遅らせて大学4年生になる4月以降に繰り下げる方針だ。時期を変更した背景と課題をまとめた。(伊藤剛)

Q なぜ就活の時期を後ろにずらすのか。

A 大学側は「早すぎる就活で学生たちが学業に専念できない」(日本私立大学団体連合会の小出秀文事務局長)と主張してきた。このため、政府も経済界に、就活の解禁を大学3年生の12月から4月以降に、選考試験は4月から8月以降に、それぞれ後ろにずらすように要請する方針だ。

Q 企業側はどう反応しているのか。

A 政府の方針を受けて、経団連は就活の解禁時期を企業に示す「倫理憲章」を見直す方向だ。今は、13年春の卒業生から就活の解禁時期を大学3年生の12月以降、選考活動は4月以降としている。これを政府の要請通りに後ろにずらして、15年春の卒業生から適用する見込みだ。経団連の米倉会長は記者会見で「会員企業に周知徹底する」と述べた。

 ただ、経団連の会員企業約1300社のうち約830社が賛同している紳士協定なので、法的な拘束力も罰則もない。

Q メリットと課題は。

A 憲章が見直されて企業がルールを守れば、大学生が落ちついて勉強できる時間が増える。企業にとっても「(しっかり勉強した)優秀な人材を採用できるなら(政府の)要請に応えるべきだ」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事)との声もある。

 一方で、国内の大企業からは外資系など協定に縛られない企業は自由に採用できるとの批判の声も聞かれる。また、かつてのように優秀な人材を囲い込むために前倒しで内定を出す青田買いが広がるとの懸念もある。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com