京大:教養科目の半分、英語で講義 「理解できるのか」異論も『毎日新聞』2013年3月12日付

『毎日新聞』2013年3月12日付

京大:教養科目の半分、英語で講義 「理解できるのか」異論も

 京都大は13年度から5年間で、欧米などの外国人教員を約100人増員し、主に1、2年生が学ぶ教養科目の講義の半分を英語で行う方針を決めた。文部科学省によると、国立大では全国初の試みだという。同大学が取り組む教養教育改革の柱と位置づけ、国際的に活躍できる人材育成を目指す。

 学内の教員からは「物事の本質を理解させるためにも日本語での授業を減らすべきではない」と反対の声も出ており、議論を呼びそうだ。

 京大によると、現在1、2年生が履修できる教養科目(人文・社会・自然科学)は約1100科目あり、うち約5%の60科目は外国人教員11人が英語で講義している。

 13年度から国の補助金を活用して英語を母語とする外国人教員を海外の大学などから招き、段階的に英語による講義を増やす。

 京大は93年、「教養部」を廃止し、新たに教養科目を担う総合人間学部を創設した。しかし、学生の学力低下に加え、教養教育が軽んじられる傾向もあり、教養教育の改革に着手。松本紘学長は昨年、改革の目標を「専門分野だけでなく、幅広い教養を身につけ、英語で語ることができる研究者を育成する」とし、教養科目の充実と英語教育の強化を打ち出した。

 今春、新組織「国際高等教育院」を設置し、教養科目のカリキュラム作成や講義の英語化を進める。

 こうした構想に対し、総合人間学部の広野由美子教授(英文学)は「大学入学直後に日本語ですら難しい教養の講義を英語で理解できるのか。逆に英語コンプレックスを抱きかねず、真の国際人育成につながらない」と疑問を投げかける。【五十嵐和大】

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