山形大の「重粒子線」研究費に10億円 政府方針、補正案に計上『山形新聞」 2013年01月11日付

『山形新聞」 2013年01月11日付

山形大の「重粒子線」研究費に10億円 政府方針、補正案に計上

 山形大が医学部(山形市飯田西2丁目)への整備を目指している「重粒子線がん治療施設」について、政府が2012年度補正予算案に研究開発の費用として 約10億円を盛り込む方針を固めたことが10日、分かった。診療現場での将来的な活用を想定した治療装置・システム開発を主眼にした補助金で、北海道・東 北では初となる最先端医療施設の実現へ、大きな一歩を踏み出すことになる。

 重粒子線によるがん治療装置が現在、稼働しているのは、放射線医学総合研究所(千葉市)、兵庫県立粒子線医療センター(たつの市)、群馬大(前橋市)の 3カ所で、導入事業が進行しているのも佐賀県と神奈川県の2カ所だけ。がん細胞に対して従来のエックス線などより破壊力があり、正常な細胞へのダメージが 少ないといった治療面のメリットがある一方、初期投資とともに高額な維持・運用経費が導入へのネックだ。

 関係者によると、山形大が研究開発に取り組むのは、重粒子線の照射状況に応じて電力供給を制御するなどし、低エネルギーで稼働する省エネ型のがん治療装置・システムとされる。導入促進へ、維持・運用経費の軽減につながる新たな技術の確立が期待されているという。

 また、同大医学部付属病院など東北各県のがん拠点病院で組織する「東北がんネットワーク」は昨年8月、「粒子線コンソーシアム」を発足し、事業への協力を確認。治療装置・システム開発に合わせ、同大が高度先進医療ネットワーク構築への役割も担うことになりそうだ。

 山形大は04年から医学部を中心に重粒子線がん治療装置の導入を検討。昨年は大学の実行計画に盛り込み、学内に設置準備室を設け、行政、財界も巻き込んだ開設検討会議を組織するなど準備を進めていた。

 政府は12年度補正予算案を15日に閣議決定し、通常国会に提出する。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com