自民党 日本経済再生本部 教育再生実行本部 中間取りまとめ 平成24年11月21日

http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/economic_recovery/119466.html

自民党 日本経済再生本部

教育再生実行本部 中間取りまとめ

平成24年11月21日

教育再生実行本部 各分科会中間取りまとめ(要点) PDF形式(142.5KB)

教育再生実行本部 各分科会中間取りまとめ(表紙) PDF形式(72.9KB)

教育再生実行本部 各分科会中間取りまとめ(本文) PDF形式(272.8KB)

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以下はテキスト版

教育再生実行本部 各分科会中間取りまとめ(要点)

子供の成長に応じた柔軟な教育システムへ(基本政策分科会)
 
現在の単線型でなく、多様な選択肢(複線型)を可能とするため、6・3・3・4制の見直しにより、「平成の学制大改革」を行う。
 幼稚園・保育所・認定こども園を活用して、5歳児教育を義務教育化する。
 
大学入試の抜本改革(大学教育の強化分科会)
 高校在学中も何度も挑戦できる達成度テストの創設などを行い、大学入試を大幅に変える。
 
大学の質・量両面の充実・強化(大学教育の強化分科会)
「大学力」は国力そのものであり、大学教育の見直しや、質・量ともに世界トップレベルの大学強化などを行う。
 
ギャップターム、9月入学の促進(大学教育の強化分科会)
 高校卒業から入学までのギャップターム(半年間)などを活用した大学生の体験活動の必修化や、学生の体験活動の評価・単位化を行う。
 
形骸化している教育委員会の抜本的な見直し(教育委員会制度改革分科会)
 いじめ問題でも露呈した現行の無責任な教育行政システムを是正するため、首長が議会の同意を得て任命する『常勤』の『教育長』を、教育委員会の責任者とするなど、教育委員会制度を抜本改革する。
 
国が公教育の最終的な責任を果たす(教育委員会制度改革分科会)
 いじめの隠ぺいなど、地方教育行政において、法令に違反している、あるいは児童生徒の『教育を受ける権利』を著しく侵害するおそれのある場合、公教育の最終責任者たる国が責任を果たせるよう改革する。
 
『いじめ防止対策基本法』の制定(いじめ問題対策分科会)
 今すぐできる対応策(いじめと犯罪の峻別、道徳教育の徹底、出席停止処分など)を断行するとともに、政権奪還後に、直ちに『いじめ防止対策基本法』を成立させ、統合的ないじめ対策を行う。
 
いじめ対策に取り組む自治体を支援(いじめ問題対策分科会)
 『いじめ防止対策基本法』を制定することにより、各自治体のいじめ防止対策について、国が財政面などでの支援を行う際の強力な裏付けとする。
 
子供たちに日本の伝統文化に誇りを持てる教科書を(教科書検定・採択改革分科会)
 『教育基本法』が改正され、新しい学習指導要領が定められたが、いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多い。子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる教科書で学べるよう、『教科書検定基準』を抜本的に改善する。あわせて、「近隣諸国条項」も見直す。
 
世界のリーダーとなる日本人を育成できる、力ある教師を養成(基本政策分科会)
 「教師インターンシップ」を導入するなど、教師力向上のための改革を行う。

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教育再生実行本部
中間取りまとめ

平成24年11月21日
自由民主党

は じ め に

 わが党は、本年10月、安倍総裁の直属機関として「教育再生実行本部」を発足させ、5つの分科会において、一か月足らずの期間で、総計29回に及ぶ精力的な議論を重ね、このたび、『中間取りまとめ』に至りました。
 『中間取りまとめ』には、改正教育基本法の理念を実現するために、わが党が政権を奪還した際に、直ちに実行すべき、具体的な政策が掲げられています。
 わが党は、「人創りは国創り」を基本に、日本を建て直すためにも、その根本である教育再生を重要政策として掲げ、国民の皆さんに信を問う所存です。
 
              平成24年11月21日
              自由民主党 教育再生実行本部
              本 部 長 下 村 博 文

基本政策分科会
(座長:遠藤 利明)
平成の学制大改革

(1)学制改革
横並び意識、画一的な学校制度を改革。子供の成長に応じた柔軟な教育システムへ。
【改革の方向】
① 学校体系の見直し
・9年の義務教育期間を見直し、幼稚園・保育所・認定こども園を活用して5歳児教育を義務化する。
・現行6・3・3・4制を抜本的に見直し、区切りを柔軟に体系化することを可能とする。
② 個人の能力・適性に応じた学びの保障システム
・飛び級制度の導入。
・中学・高校において未達成科目の再チャレンジ。
・小・中学校卒業時における学力評価。
・高校での達成度試験の実施。(※「大学教育の強化分科会」の中間とりまとめも参照のこと)
(2)教師力向上のための改革
教育は人なり。世界のリーダーとなる日本人を育成できる力ある教師を養成。
【改革の視点】
・優秀な教師の養成:高度な教育課題に対応するため教育系大学・大学院の充実。
・教師適性の確保:採用前の現場体験後、採用側と本人が適性を判断。
・教師採用の多様性:有為な外部人材を教職に確保する採用の多様化。
・研修機能の強化:免許更新制及び教師大学院を活用した研修の充実。
・学校運営機能の強化:校長など管理職の能力向上と資格付与。
【改革の方向】
①「教師インターンシップ制度」の導入(※「教育委員会制度改革分科会」の中間とりまとめも参照のこと)
・大学、大学院卒業後、准免許を付与し、インターンシップ(1~2年間)を経て、採用側と本人自らが適性を判断する。
・インターンシップ修了後、認定の上、本免許を付与して正式採用する。
② 管理職教師の養成と資格化
・教師大学院に「管理職養成コース」を設置する。
・「管理職養成コース」修了を管理職登用の要件とし、その資格化を図る。
・インターンシップにおける指導は「管理職養成コース」修了者等が実施する。
③『平成の人材確保法』の制定
・教師待遇及び教師定数の改善・充実。
・義務教育費国庫負担金は、国が全額(100%)負担する。

いじめ問題対策分科会
(座長:馳 浩)
『いじめ防止対策基本法』の制定

 いじめは絶対に許されず、撲滅すべきである。
 今すぐできる対応策を断行するとともに、早急に『いじめ防止対策基本法』を立法し、関係者の連携を通じて、以下のように対処する。
① 全都道府県や全区市町村において、『いじめ防止条例』を必置する。
② 全都道府県や全市区町村において、「いじめ対策アドバイザー」を委嘱し、必要に応じて学校に派遣する。
③ いじめによる事件・事故(自殺等)の事案が発生時、3日以内に「学校内調査委員会」を設置し、学校長の指導の下、対処する。
④ いじめによる事件・事故の事案が発生時、3日以内に当該自治体に「第3者調査委員会」を設置し、「校内調査委員会」と連携して対処する。
⑤ 自治体において、いじめの事件事故に対しては、学校、教育委員会、警察、司法関係者、NPO団体等関係者が連携して対応する。
⑥ 人権に配慮しながら、アンケート調査を実施し、いじめの加害者、被害者や保護者に情報開示し、保護者の意見を適切に聴取する。
⑦ 特に、被害者やその保護者等の意見を、「調査委員会」の調査に反映させる。
⑧ 教育的指導の可能ないじめと、刑法犯に相当する犯罪とを、峻別する。
⑨ 教職員をはじめ関係者は、いじめの加害者と被害者に和解を促す指導とともに、相談・再教育体制を強化する。
⑩ いじめ事案処理後も、関係者は見守りを継続する。
⑪ 国は、いじめ対策について、調査・実態把握・研究・検証・分析・啓発・広報の体制を強化する。
⑫ ネットいじめ対策のネットパトロールを実施する。
⑬ 文部科学省、法務省、警察庁、厚生労働省、NPO団体、事業者団体等、関係機関が連携して対処する。

教科書検定・採択改革分科会
(座長:松野 博一)
日本の伝統文化に誇りを持てる教科書を

 『教育基本法』が改正され、新しい『学習指導要領』が定められてから、初めての教科書の採択が、小・中・高等学校で行われたが、多くの教科書に、いまだに自虐史観に立つなど、問題となる記述が存在する。
 教科書検定・採択の構造的な問題点を是正し、真に『教育基本法』・『学習指導要領』に適った、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」(『教育基本法』)ための教科書で、子供達が学ぶことができるようにするため、以下の通り、制度改正の提言を行う。
(1)教科書検定について
『義務教育諸学校教科用図書検定基準』(以下、『教科書検定基準』)について、以下の通り、改善する。
①『教科書検定基準』につき、文部科学大臣が、各教科書共通で記載すべき事柄を具体的に定める方式に改める(現在は、多くが「~でないこと」との形式となっている)。
あわせて、大綱化が進んでいる『学習指導要領』の記述についても詳述化する。
共通で記載すべき事柄の例としては、例えば、歴史教科書における事件や人物など。
② 複数の説がある事項について記述する際は、多数説(政府見解、最高裁判所判例、通説など)・少数説を明記する。
③ 数値(特に歴史的事項)について、複数の説がある際は、その根拠について明記する。
④『教科書検定基準』における、いわゆる「近隣諸国条項」に関しては、見直す。
 「教科用図書検定調査審議会」及び「教科書調査官」の役割・責任については、透明性と公平性を徹底する。
(2)教科書採択について
 『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』及び『義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律』の法的な整合性を図る。

大学教育の強化分科会
(座長:山谷 えり子)
大学ビッグバン ~知と価値の創造~

 「大学力」は、国力そのもの。質・量両面の充実・強化が必要。
(1)大学強化のための設置基準の見直し
① 経営が悪化したり、質が著しく低下した大学の改善を促し、成果が認められない時は退場を促す仕組みの確立。
② 社会や学生ニーズの観点からの新規参入認可プロセスの明確化(地域貢献や就職支援プラン等)。
(2)世界トップレベルの大学強化
① 世界トップレベルの大学は特区化、諸規制を撤廃
② オープンラボ、研究サポートスタッフ(※)設置義務化。(※)知財、広報など。
③ 世界トップレベル大学からのPh.D(博士号)を持つ若手研究者の大量スカウト、資金支援。
④ 海外の大学が日本で教育を行う環境整備。
(3)入試の抜本改革と高校教育の質保証
① 高校在学中も何度も挑戦できる達成度テスト(「日本版バカロレア」(※))の創設。(※)5~6科目程度の大括り。英語はTOEFL等を活用。
② 日本版バカロレアを前提にした論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革。
③ 国際バカロレアに日本語を追加し、国際スタンダードのもとでの海外留学の促進。
(4)ギャップターム、9月入学を促進し、体験活動を必修化
① ギャップターム等を活用した大学生の体験活動(国とふるさと、環境を守る仕事-例えば、海外NGO、農業・福祉体験、自衛隊・消防団体験等)の必修化とその環境整備。
② 学生の体験活動を評価・単位化する(民間の力の活用)。企業の採用プロセスに活用。
(5)質の高い大学教育への転換
① 大学教育の質の保証徹底の義務化(制度改正)。
② 評価に基づく資金の重点配分(授業評価、教員の業績評価の厳格化等)。
③ 留学生の戦略的な双方向交流。
(6)職業と直結した技能職を育成する地域密着型大学支援
① 地域密着型のコミュニティカレッジ化による技能習得と就労支援。
② 複数専攻(ダブルメジャー)を可能にする。
③ 社会人の学び直し、再チャレンジの支援。
④ 専門学校、高等専門学校、短期大学の充実。
(7)“大学村”の解体‐開かれた教育と研究体制づくり
① 学長のリーダーシップ確立のための学長と教授会の役割の明確化(法改正)。
② 学長を支えるスタッフ(理事、副学長、財務等の専門スタッフ)の抜本的強化。
③ 学長のリーダーシップの抜本的強化(学長裁量経費・間接経費を30%以上に)。

教育委員会制度改革分科会
(座長:義家 弘介)
教育行政における責任体制の確立

 『改正教育基本法』の理念にのっとり、いじめ問題でも露呈した現行の無責任な教育行政システムを是正し、真に公教育に資するものとするため、以下のように改正する。
(1)教育行政の責任体制確立と、意思決定システム改革(『地方教育行政法』改正)
① 教育委員会の責任者が、『非常勤』の『教育委員長』であるという無責任体制を改め、首長が、議会の同意を得て任命する『常勤』の『教育長』を教育委員会の責任者とする。
② 教育委員会を、教育長の諮問機関と位置付け、教育に関する各般の問題について闊達な議論が行われる場とする。
③『地方教育行政法』50条(文部科学大臣の指示)の是正要件を見直し、地方教育行政において、法令に違反している、あるいは児童生徒の『教育を受ける権利』を著しく侵害するおそれのある場合、公教育の最終責任者たる国が責任を果たせるよう改正する。
(2)適切な教育内容を確保するための改革(『学校教育法』の改正)
① 任意設置となっている主幹教諭を『必置』とする。また、それに伴い、一部の地域で教職員組合に流用されている主任手当、及び主任制度を廃止する。
② 教育長の判断で、土曜日に正規の授業を行えるよう改正する。
③ 教育長、指導主事、校長、主幹、教諭等の役割と責務を法律上明記し、責任体制を確立する。
(3)教員の質を確保するための改革(『教育公務員特例法』の改正)
① 教育公務員を『教育専門職』と明確に位置付ける。
② 職務規律の確立。『教育公務員倫理規定』(仮称)の制定。
③ 政治的行為の制限に違反した教員に対し、罰則規定を課す(現在、罰則なし)。
④ 教員の勤務評価及び、それに基づく処遇が適切に行われるよう、教育長及び校長の責務を設ける。
(4)教員の適性を厳格に判断する改革(『教員免許法』の改正)
① 大学の教職課程修了により授与される免許状を『准免許状』とする。
② 採用後、一定の実務経験を積み、試験に合格した者に、免許管理者である教育長は『普通免許状』を授与する。

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