『日本経済新聞』2012年10月16日付
田中文科相、科技予算「生活者重視で配分」
田中真紀子文部科学相は日本経済新聞社などの取材に応じ、科学技術分野の予算配分は「時代のニーズや生活者に近い技術を重視する」と話し、新産業の創出やエネルギー資源の確保につながる研究に予算を重点配分する方針を示した。再生医療や海底資源探査などを手厚くする意向だ。
優先的に予算を配分する分野の一つは、今年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった山中伸弥京都大学教授が開発したiPS細胞を活用した再生医療の実用化技術の研究。若手研究者や知的財産の専門家などの研究支援者の雇用などが課題になっている。田中文科相は「ノーベル賞受賞がインセンティブ(動機づけ)になった」として、優遇する考えを示した。
国際宇宙ステーション(ISS)などを使い無重力状態で新素材を開発する研究や、潜水艇でメタンハイドレートなどの海底資源を探す研究も期待する分野に挙げた。
高速増殖炉もんじゅについては「どんな研究成果が取り出せるかを見極める」と語った。将来の廃炉を目指す方針は維持する。廃炉時期は「閣内や専門家と話し合い決める」と述べた。使用済み核燃料を減らす技術開発などに使う可能性がある。