『日本経済新聞』2012年10月6日付
病院の自販機運営で随意契約、阪大系財団が多額利益 検査院
大阪大学の名誉教授らが理事を務める一般財団法人「恵済団」(大阪府吹田市)が、阪大医学部付属病院内の自動販売機の運営を随意契約で請け負い、手数料収入で2年間に1億円以上の利益を得ていることが5日、会計検査院の調べで分かった。検査院は阪大に対し「不適切な契約で、大学に収入が入るように見直すべきだ」と指摘した。
恵済団は病室の有料テレビ向けのカードや飲料水の自動販売機を計59台運営し、自販機を置くスペースの賃料として2010年度と11年度に阪大に420万円を支払った。一方、自販機の管理は民間業者に再委託し、自販機の売り上げ全額を業者の収入とする代わりに手数料として計1億1580万円を業者から受領し、賃料との差額1億円超を稼いでいた。
阪大は随意契約とした理由について、「競争入札で不慣れな業者が落札すると病院運営に支障が出る」としていたが、検査院は「結局は民間業者に再委託しており、契約を恵済団に限定する必要はない」と判断。恵済団は2年間で4848万円相当を阪大に寄付しているが、契約を見直せばさらに6千万円超の増収を図れると指摘した。
恵済団は付属病院内の環境整備などを目的に1922年に設立。7人いる理事のうち6人を名誉教授や元阪大職員が占める。阪大は「自販機の契約は自主的に見直すことを決めており、来年度から競争入札に改める」としている。