社説:雇用のかたち 正社員も多様で自由に『毎日新聞』社説2012年04月10日付

『毎日新聞』社説2012年04月10日付

社説:雇用のかたち 正社員も多様で自由に 

 「一に雇用、二に雇用……」は菅内閣、「分厚い中間層を復活させる」は野田内閣の方針だ。改正労働者派遣法が今国会でようやく成立した。製造業派遣の原則禁止などは削除されたが、派遣会社に手数料の割合の公開を義務づけるなど均等待遇に向けた改善が盛り込まれた。また、有期雇用契約の無期雇用化を促す労働契約法8件改正案も今国会に提出されるなど、非正規雇用の改革は少しずつ進んではいる。

 ただ、失業率は高止まりしたままで、非正規雇用も今や約1800万人、被用者全体の34%を占めるまでになった。正規と非正規の二極構造を固着させたまま、非正規の待遇改善を図るだけでは限界がある。正社員の働き方も含めて雇用のかたちを変えることも必要だ。

 とかくネガティブな印象が強い非正規雇用だが、すべてが悪いわけではない。自分の都合に合わせた働き方を求めて非正規を希望する人も少なくない。問題は正社員になれない不本意な非正規雇用が2割以上を占めることだ。特に最近は若年層に多く、長期化しているのが特徴という。若いころの賃金は同年代の正社員とあまり変わらないが、勤続年数が増しても賃金が上がらず格差が開いていく。将来、無年金・低年金になる恐れがあるばかりでなく、経済的理由で結婚しない人の増加に拍車をかけ、少子化を加速させることにもつながっている。

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