公務員採用削減方針 復興へ支障懸念も  『東京新聞』2012年3月7日付

『東京新聞』2012年3月7日付

公務員採用削減方針 復興へ支障懸念も 

 政府が六日、二〇一三年度の国家公務員の新規採用を大幅に抑制する方針を決めたのは、消費税率引き上げ関連法案の閣議決定を前に、行政改革の進展を印象づける狙いがある。しかし、各府省の年齢構成がゆがみ、人事の硬直化や士気の低下を招くという指摘もあり、閣内には慎重論がくすぶる。政府は今月中に採用計画をまとめる方針だが、調整が難航する可能性もある。 (生島章弘) 

 野田佳彦首相は六日、本部長を務める行政改革実行本部の会合で「自ら身を切る改革を実行することが、国民の納得と信頼を得る上で不可欠だ」と全閣僚に協力を求めた。 

 行革担当の岡田克也副総理は記者会見で、「国民に負担をお願いする以上、まず官の世界でできるだけの努力をしないといけない」と指摘。過去の採用抑制では事実上の例外扱いとされた刑務官など一部の職種についても「まったく影響がないことはあり得ない」と聖域を設けずに切り込む姿勢を示した。 

 ただ、閣内の足並みがそろっているわけではない。実行本部の会合でも、閣僚から人手不足を訴える意見が出た。 

 新規採用を抑制すれば、給与水準が高い高年齢の職員の割合が増える。岡田氏は「そうした議論を超えて、行革に取り組まないといけない」と反論する。 

 東日本大震災からの復興に携わる職員にしわ寄せが及ぶ可能性もある。平野達男復興相は記者会見で「いろんな手を使って、必要な人を確保することはやらないといけない」と強調した。 

 総務省は一〇年五月、新規採用を〇九年度比で四割抑制すれば、人件費を八十億円削減できるという試算をまとめた。

 しかし、一三年度から年金支給開始年齢が引き上げられるのに伴い、六十歳を超えた公務員を雇用し続ける可能性が高い。財務省内にも「退職者がどの程度か分からなければ、削減額は計算できない」という指摘があり、採用抑制による人件費削減効果は期待できない。

 

 

 

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