『中日新聞』2012年2月1日付
名大病院に新訓練施設 高度な技術伝授
ロボットを使った手術や内視鏡検査、血管治療などをシミュレーション機器を利用して訓練する「メディカルシミュレーションセンター(仮称)」が、2013年度中に名古屋市昭和区の名古屋大病院に誕生する。最先端の機器を10種類以上備え、年間3万人の利用を見込む国内最大規模の施設となる。
国は、運営費交付金として3億3千万円を新年度予算案に計上。完成後は名大病院の医師や看護師、医学生だけでなく、院外にも開放される。松尾清一病院長は「センターを通じ、この地域全体の医療技術向上に貢献したい」と期待する。
新センターには、医師が遠隔操作する内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ」の操作や、血管内治療などの練習装置を設置。診療室や集中治療室(ICU)、手術室を再現した部屋を用意し、トレーニング用マネキンを使ってチームで治療を進める際の訓練もできるようにする。
名大病院には現在、新センターよりも小規模なスキルトレーニングセンターがあり、麻酔や注射の技術が習得できる。年間1000件、延べ2万人以上が利用しているが、新センターはこの1・5倍を見込む。
これまで、医療技術は「徒弟制度」のような形で受け継がれてきた。しかし、技術が高度化するにつれ、従来の方法には限界が近づいていると指摘されている。松尾病院長は「新センターで、医療関係者は数が少ない症例への対処法も学べる。このようなセンターは今後、日本各地に必要で、その先例となるよう努力したい」と話している。