質問なるほドリ:国立大が外部から受け取る研究資金の種類は?『毎日新聞』2012年1月22日付

『毎日新聞』2012年1月22日付

質問なるほドリ:国立大が外部から受け取る研究資金の種類は?=回答・袴田貴行

 <NEWS NAVIGATOR>

 ◇共同研究や奨学寄付金など 国の交付金減少、大学は獲得に注力

 なるほドリ 国立大学の原子力関連研究に国や企業などから多額の研究資金が流れ込んでいるようだけど、国立大学法人が外部から受け取る研究資金にはどういうものがあるの?

 記者 共同研究、受託研究、奨学寄付金、寄付講座などがあります。04年の国立大学法人化以降、国から支給される運営費交付金が減少し、各大学は外部資金獲得に力を入れています。

 Q 奨学寄付金は研究室や研究者に直接渡されるの?

 A いいえ。各大学が学内規定などで手続きや条件を定めており、それに従って大学に振り込んでもらいます。東京大の場合は、寄付者に寄付先や使用目的などを尋ね、内部の審査機関でチェックします。手続きを経て振り込まれると、寄付先の研究室や研究者に渡されます。

 Q 受け取ったお金は自由に使えるの?

 A 何に使ってもいいというわけではありません。大学の会計規程に基づき、研究のために使うことになっています。東大の場合、使用後は領収書などを提出してもらい、外部の会計監査を受けます。

 Q 共同研究と受託研究はどう違うの?

 A 共同研究では、大学が他の研究機関や企業などから研究員や経費を受け入れ、大学の教員と共同で研究します。一方、受託研究は大学が外部から委託を受けて研究し、成果を委託者に報告する仕組みで、研究経費は委託者の負担になります。

 Q 寄付講座というのはどんなものなの?

 A 企業や団体からの寄付金を基に開設される講座です。開設期間はおおむね3~5年で、寄付者がテキストやカリキュラムを作成し、講師を派遣することもあります。新技術の開発など、寄付者の意向を受けた研究をするケースも多いようです。

 Q 大学の先生が特定の企業や団体から資金の提供を受けることで、企業などに有利な研究結果を出すなど、悪影響が出ることはないのかな?

 A 以前、インフルエンザ治療薬の副作用を調べる厚生労働省研究班で班長を務める大学教授が、その薬の販売元から奨学寄付金を受け取っていたことが問題になったことがあります。そういうケースは「利益相反」と呼ばれ、国の審議会や学会、各大学などは防止対策を進めていますが、最後は研究者本人のモラルにかかっています。(社会部)

==============

 ご質問をお寄せください。〒100-8051毎日新聞「なるほドリ」係

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com