研究費で不適切経理か 北海道大学が調査委『朝日新聞』2012年1月14日付

『朝日新聞』2012年1月14日付

研究費で不適切経理か 北海道大学が調査委

 北海道大は13日、研究費の一部を取引先の業者にプール(預け)させるなどの架空の経理処理がされた疑いがあるとして、外部の弁護士と公認会計士を含む5人による調査委員会(委員長・新田孝彦理事)を設置したと発表した。8月をめどに調査結果をまとめる。

 北大によると、昨年7月に国税当局から北大の取引先の2業者で、北大から入金を受けたのに納入していない架空の経理処理がされた模様、との情報提供を受けた。

 翌8月から、この2業者を含む主な契約業者約700社の調査を開始。事情を聴いたり、経理伝票と納入伝票などを突き合わせたりした結果、実験器具や試薬品などを納入している十数社で架空の経理処理がされた疑いが浮上した。

 契約された品物が実際には納入されていないのに業者側に金が支払われており、経理処理上は架空の伝票が切られていたという。業者側にいったん金が渡るが、後日、契約品とは違う品物や同じ品物でも時期を遅らせて納入させる「預け」と呼ばれる手口とみられるという。

 一般的に、予算処理が年度をまたぐ場合に余った予算を返す手間が省けるために行われるケースが多いが、北大側の研究者らにはまだ事情を聴いていないという。調査は過去7年分が対象。一回の伝票で数万円から100万円単位のものもあり、巨額の不正経理となる可能性がある。

 「預け」はほかの大学などで相次ぎ発覚。文部科学省は昨年8月、全国の国立大学など1300機関に「預け」などの不正経理がないか調査をして回答するよう要請した。

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com