『毎日新聞』岐阜版2012年1月12日付
岐阜大大学院:PMDAと協定 医療機器分野で連携協力
岐阜大の森秀樹学長と独立行政法人、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長は11日、岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科とPMDAが医療機器分野の教育研究で連携協力するための協定を結んだ。PMDAは医薬品における連携研究協定を7大学と結んでいるが、医療機器分野で国内の大学と協定を結ぶのは初めて。
PMDAは医薬品の審査や使用における安全対策と健康被害救済を行う国内唯一の機関。一方、同研究科は岐阜大と岐阜薬科大の国内初の連合大学院で、創薬科学専攻と医療情報学専攻がある。安全な薬物治療法や医薬品の評価方法などを開発・研究している。
両者の連携により、世界で後れをとる、医療機器の安全基準を科学的根拠に基づいて作っていくための研究交流を進める。4月からPMDAが客員教員を選任し、同研究科で授業を開講するほか、同研究科の大学院生をPMDAへ修学職員として派遣し、博士号取得を目指して指導を受ける。
紀ノ定保臣・研究科長(58)は、文部科学省の補助事業で先端医療機器の開発を8年間研究してきた医学・工学博士。日本の医療機器分野の開発研究は米国、ドイツ、オランダと比べて遅れており、医療機器を扱う産業界が国際成長するためにも、医薬品と併せて医薬機器の専門知識を体得した人材の育成が国家的課題という。
紀ノ定研究科長は「医療機器は発展が期待される分野。大学院生がPMDAで学ぶことで、産業界に優秀な人材を輩出できる。少子高齢社会を支える技術として、医療や福祉などの成長分野で社会貢献できる人材を育成していきたい」と話している。【立松勝】