『日本経済新聞』2012年1月4日付
放射光施設、東北に建設を 国立大7校が構想
東北の国立大7校が次世代放射光施設を東北地方に建設する構想をまとめた。電子を光速近くまで加速することで発生する放射光を使った「巨大な顕微鏡」といえる放射光施設はナノ工学、医療など幅広い分野で利用されている。構想では、先端産業を支えるとともに東日本大震災からの復興にもつながると強調。震災復興予算に盛り込むよう国などに働き掛ける。
「省エネ・イノベーション支援型放射光施設構想」は、金属物性研究で知られる東北大の早稲田嘉夫名誉教授らが中心になってまとめた。東北、弘前、岩手、秋田、山形、宮城教育、福島の各大学の研究者ら約60人が「東北放射光施設検討会」を結成した。
原案によると、放射光施設の規模を示す蓄積電子エネルギーは3ギガ(ギガは10億)電子ボルト級。国内ではSPring―8(兵庫県佐用町、8ギガ電子ボルト)やフォトンファクトリー(茨城県つくば市、6.5ギガ電子ボルト)に次ぐ規模で産業利用に向くという。
建設候補地などは今後絞り込む。事業費は100億~200億円、整備期間は2~3年を想定している。放射光施設は関西以西を中心に全国で10近くあるが、北海道・東北は未設置。