起業の背中押します 三重大、個人にビジネス講座『中日新聞』三重版2011年11月24日付

『中日新聞』三重版2011年11月24日付

起業の背中押します 三重大、個人にビジネス講座 

 三重大は今年から、県内で新規事業の立ち上げを目指す人を対象にしたビジネス講座「MIE起業道場」を開いている。大学が個別の起業支援に乗り出すのは珍しく、三重大は大学による新たな地域貢献活動として力を入れている。

 道場は9月から12月まで10回の講座が予定され、期間前半は県内の経済人やコンサルタントを招いた講演を通じ、ビジネスの基礎を学んだ。後半は少人数のゼミ形式の講義を通じて事業計画をまとめ、卒業試験では銀行の担当者らが事業計画を実際の融資さながらに審査する。

 18日から始まった後半のゼミでは、選考を勝ち抜いた20代から40代までの5人が出席。自ら考えた事業計画を発表し「もっと事業エリアを絞っては」「今の仕事の強みを生かすべきでは」など、互いに質問や意見をぶつけ合っている。講師役で、かつて大学発医療ベンチャー企業の社長を務めた西村訓弘・三重大地域戦略センター長も議論に加わり、計画のさらなる見直しを求めていく。

 伊勢市でフリーマガジン発刊会社を経営する畑佑樹さん(28)は、大学主催という点にひかれて参加。新たな事業展開として、地域に根差した子育て支援サイトの開設を考えており「社内での議論はどうしても独り善がりになりがち。起業経験者や受講者と意見を交わすことで、新たな視点に気付かされる」と話す。

 西村センター長は、大学が手掛ける起業支援について「大学は産学連携研究を通じて、幅広い企業とつながりがある。大学の蓄積とこうした関係を生かせば新しいビジネスの議論をする受け皿になりうる」と指摘する。

 三重大は、国立大の独立行政法人化に伴い、研究や教育に加えて地域貢献の充実を掲げており、今回の起業支援もその一環。社会連携担当理事の武田保雄副学長は「三重大のような中規模の地方大学が発展するには、社会連携がカギ。地域経済の活性化に貢献することで、大学の魅力アップにもつながる」と期待している。

 (加藤弘二)

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