◆(声明)国家公務員給与臨時減額法案の廃案と、国立大学等の教職員給与への反映の強制を行わないことを求める  2011年11月1日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会

◆(声明)国家公務員給与臨時減額法案の廃案と、国立大学等の教職員給与への反映の強制を行わないことを求める

1.「国家公務員給与臨時特例法案」は廃案にすべきである

政府は、10月28日の閣議において、「公務員の給与に関する取扱いについて」を決定した。その中で、人勧の実施を見送るとともに、6月3日の閣議決定にもとづき提出された「国家公務員給与臨時特例法案」の早期成立を期すとしている。しかし、今回の法案には次のような問題点があり、廃案とすべきである。

1)今回政府が実施しようとしている国家公務員給与に関する措置は、国家公務員の労働基本権制約に対する代償措置としての人事院勧告制度を踏みにじるものであり、許されないものである。

2)6月3日の閣議決定・法案提出の拠り所とされている、公務員組合との合意についても、他にも有力な組合が存在するにもかかわらず、今回対象となる国家公務員の一部のみを組織する組合による合意であり、かつ、職員団体の組織さえ制約されている警察職員等の意見は全く聞き入れられていない。法案提出にいたる「労使交渉」は手続き的に大きな問題をはらんでいる。公務員制度改革は、国民的な議論を経て慎重に行われるべきものである。

3)10月28日の閣議決定は、「我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曾有の国難に対処するため」に、「臨時特例」法案としてこの法律案を提出すると説明している。このため、給与削減期間終了後は、少なくとも現在の給与水準に戻されるとの期待を与えている。しかし、この「臨時特例」法案は、本格的な公務員制度改革(公務員給与の恒久的な給与削減を含む)までの中継ぎ法案であり、さらに大幅な公務員給与削減へのステップであると考えられる。

4)今回の措置はデフレを悪化させ、結果として震災からの復旧復興には資するものではない。国家公務員給与は、地方公務員、民間の労働者などへ広く波及し、今回の措置の影響は国家公務員にのみ留まらず、結果として景気の後退をまねき、震災からの復旧・復興を困難にするものである。

5)震災からの復旧・復興のための財源は別の方法により確保すべきものである。震災からの復旧・復興は被災地と国民の願いであり、必ず成し遂げなくてはならないものであり、その負担は、広く国民が分かち合うものとすべきである。一部の国民である国家公務員のみが負うべきものではない。

6)今回の措置は、震災・原発事故による激甚な被害を受けた東北3県を中心とする地域にも、容赦なく適用されるものであり、国民的な理解を得られるはずのないものである。

2.国立大学等の教職員への国家公務員給与臨時減額の反映を強制するべきではない

国立大学等の教職員の給与について、今回の国家公務員給与臨時特例の措置に対する準拠を強制することは、次のような問題点があり、これを行うべきではない。

1)2004年に法人化された国立大学等の教職員は、自律的労使関係のもとに置かれている。にも関わらず、今回の閣議決定では、国立大学法人を含む広義の独立行政法人に対し、「法人の業務や運営のあり方等その性格に鑑み、法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ」と限定しながらも、「必要な措置を講ずるよう要請する。」として、国家公務員と同等の給与減額を迫っている。事実、過去2年のマイナス人事院勧告にあたっては毎回、同様の表現の閣議決定が行われ、国立大学等の教職員の給与は人勧に準拠させられ続け、その結果、職員の給与水準は、対国家公務員ラスパイレス指数で80台に固定化している。

2)国立大学法人は政府の総人件費削減方針に従い、政府目標を上回る人件費削減を達成している。これは国立大学法人の経営努力の成果であるとともに、国立大学法人職員が政府想定以上の高い労働密度の業務に従事していることを意味する。自主的努力によって効果的・効率的な業務の遂行を目指すという国立大学法人の趣旨を踏まえ、その努力のインセンティブを確保するためには、国立大学法人内部における自主的・自律的な給与決定を保証すべきである。

                 2011年11月1日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会

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