被災3県の大学・短大、受験生確保に懸命『読売新聞』2011年10月18日付

『読売新聞』2011年10月18日付

 被災3県の大学・短大、受験生確保に懸命

 大学受験生が出願先の絞り込みに入る時期を迎え、東日本大震災で被害を受けた沿岸部の大学や短大では、受験生確保に組織を挙げて取り組んでいる。

 補修を終えて大半は通常通り授業ができる状態だが、被災地復興が進まず、放射能被害も続く現状で、各大学とも「悪いイメージを引きずり志願者が減 るのでは」という不安にさいなまれている。「保護者や受験生に正しい情報を伝え、一人でも多く受験してほしい」とPRに懸命だ。

 文部科学省によると、東北3県では岩手で11校、宮城で22校、福島で17校(他県の大学の研究施設等を含む)が被災した。

 「来年も募集はするんですか?」「校舎は大丈夫なんですか?」――。宮城県石巻市の海岸線から約4キロに位置する石巻専修大。入試担当の鷹崎正彦 事務課長が高校を回ると、決まって同じ質問を受ける。校舎の被害は少なく、授業は5月20日に再開したが、同大では学生約1800人のうち6人が犠牲と なった。授業の特色を売り込む前に、施設の状態を詳しく説明する。「情報をいかに正確に伝えるかが課題」と話す。

 魅力アップのため大学と主要駅を結ぶスクールバスを増便し、被災者向けの奨学金制度も新設。大学案内の請求は、いつもに比べ4月までは少なかったが、今は約5600件とほぼ例年並みに。鷹崎課長は「ただ、どこまで受験につながるか」と不安ももらす。

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