『西日本新聞』2011年10月5日付
熊大に国際医学拠点 エイズ研究など集約
1997年に国内の大学では初めてエイズ専門の研究センターを設置した熊本大学(熊本市)が、本荘キャンパス内に、エイズ研究など先端医学の新たな国際拠点施設整備を計画していることが分かった。文部科学省は、2012年度概算要求に新施設の設計・建設費を計上しており、12年度中の完成を目指す。
計画では、現在、同キャンパス内に分散しているエイズ学研究センター▽発生医学研究所▽大学院生命科学研究部-を新施設に集約。熊本大は「3組織が連携し、世界から研究者などの人材を集めて先端医学の研究を進めたい」としている。
エイズ学研究センターは、これまで病態解析や免疫学的研究、薬剤開発などを重点的に実施。08年には、世界最高水準の教育研究拠点づくりを支援する文科省「グローバルCOEプログラム」に、同センターを中心とした「エイズ制圧を目指した国際教育研究拠点」が採択された。
一方、発生医学研究所は分子遺伝学、細胞医学などの分野での研究実績を持つ。また大学院生命科学研究部は医学、薬学などを融合した研究を進めてきた。新施設の建設は、関係性が深い3組織が同一施設に入り、課題を共有する狙いがある。
文科省の12年度概算要求における国立大学法人施設などの整備費は、約1242億円。熊本大の同事業はこのうち、成長分野などに重点配分できる「日本再生重点化措置」枠(約288億円)内で要求。同省は、個別事業の要求額は「予算が付いた場合に、入札に影響する」として公表していない。