公務員給与 削減法案 審議見送り 復興費、数百億円回せず『東京新聞』2011年8月21日付

『東京新聞』2011年8月21日付

公務員給与 削減法案 審議見送り 復興費、数百億円回せず

 政府・与党は二十日、東日本大震災の復興財源を捻出するため国家公務員の給与を削減する臨時特例法案について、今国会の審議入りを見送る方針を決めた。菅直人首相の退陣問題など政局の混迷で国会日程に余裕がなくなり、会期内の成立は困難と判断した。当面は削減予定額が被災地に転用されず、引き続き公務員給与は満額支給されることになる。

 六月三日に提出された同法案は、二〇一三年度末まで国家公務員の月給を役職に応じて10~5%、ボーナスを一律に10%削減する内容。これによる捻出財源は年間ベースで約二千九百億円になる。

 法案は公布の翌々月からの給与カットを明記。政府は六月末までに早期成立させて八月にも実施したい意向だったが、秋の臨時国会で成立するとしても九月以降で、実施は早くても十一月にずれ込む。当初方針より少なくとも給与削減の三カ月分、数百億円が復興費に回らないことになる。 

 法案には、人事院勧告によらない公務員給与の変更の正当性に疑問の声があり、野党側も「消費が低迷して経済に影響を及ぼす」などと批判。ただ審議の「たなざらし」状態が続けば、政府が約束した復興財源への転用額がさらに減り、被災地の猛反発も予想される。

 国家公務員の給与カットは民主党がマニフェストで「総人件費の二割削減」を掲げた看板政策。労働条件を労使交渉で決める協約締結権の付与を交換条件に政府が職員団体と協議中、大震災が発生して復興財源への充当案が浮上、議論が加速し法案提出にこぎ着けた経緯がある。

 

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