教育振興基本計画部会(第4回) 議事録 平成23年6月13日

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo9/gijiroku/1309787.htm

教育振興基本計画部会(第4回) 議事録

1.日時
平成23年6月13日(月曜日)15時~17時

2.場所
文部科学省「第二講堂」 (旧文部省庁舎6階)

3.議題
 1.部会長の選任等
 2.現行教育振興基本計画の進捗状況、我が国の教育を取り巻く諸情勢の変化、東日本大震災を踏まえた教育上の課題
 3.その他

4.議事録
※上月生涯学習政策局政策課長より、出席者の紹介
•部会長として三村委員を選任、副部会長として安西委員及び小川委員を指名
•会議の公開を決定

(途中略)

【三村部会長】
 ありがとうございました。
 金子委員、お願いします。

【金子委員】
 私は大学高等教育を専門にしておりますが、大学高等教育については、目下の焦眉の課題は、大学教育の質の保証・改善、このメカニズムを、効果的なものをいかにスピード感を持ってつくるのかということが課題だと思います。社会的にも、国際的にも、それは非常に大きな課題になっていると思いますし、日本がそれをきちんといかにできるのかということが問題になると思います。ただ、これは安西分科会長のもとで、かなり高等教育については議論がありますし、次の振興計画までにはかなり具体的な案というのが出てくるのではないかと私は思います。

 それで、私は専門外ですが、一つだけ、高等教育を離れて申し上げたいのですが、それは高校の問題です。高校は、私は非常に大きな問題ではないかと思います。私ども、高校生の追跡調査をやっているんですが、日本の高校3年生は、1日2時間以上家で勉強しているという学生は半分なんですね。全く勉強しないのが3分の1です。ということは、多分、3年間ほとんど家で勉強していない子どもが3分の1ぐらいいる。これは、要するに、授業に出ているだけなんですね。自分でそれを考え直して、自分の力としてまとめ直すということをほとんどやっていない。あとはスポーツかなんかを一生懸命やっている学校もあるというふうなこともありますが、しかし、それもやっていない学生も相当あるわけです。高校を出て社会に出る学生が、今3割近くいるわけです。高校が最終学歴の子どもが3割近くいるわけですね。この人たちは、今後の社会の中でどうやって生きていくのかと考えると、やっぱり非常に大きな問題ではないかと思います。

 そういった意味で、日本の教育制度を下から上までずっと見てみますと、何やかんや言っても、小学校、中学校、それから大学についてはいろんなことをやられていますし、生涯教育についても言われていますが、どうも高校がかなり盲点になっているのではないかなと思います。前回の計画を見ても、高校の分や、高校や大学における質の改革と、基本的には大学の話ですし、あと出てくるのは、接続なんですね。要するに、高校の問題をすぐ大学の入試の問題にしてしまうんですが、これは間違っていると私は思います。大学入試を受けない学生が相当あるわけです。この人たちをどうしていくか。もちろん、大学入試を受ける学生でも、今、全然勉強しない人は相当入っていますが、しかし、接続関係で考えるのは非常におかしい。

 進捗状況も、これは11ページですが、見てみますと、高校改革って、実はここでは何も書いていないですね。今インタビューをいろいろと行っていると書いてあるわけですが、高校関係者のインタビューをして、それはもちろん重要ですけれども、それで済む問題でもない。教育システム全体を通じて、高校で何をするのかということがやっぱり問われているわけで。これは文科省のいろいろな行政的な仕組みの問題もあるので、なかなか正面から扱いにくいというようなこともあるのかもしれませんが、高校については、やっぱり非常に大きな問題、盲点が生じているということは申し上げたいと思います。

 以上です。

【三村部会長】
 ありがとうございました
 次に、副会長の小川さん、お願いします。

【小川副部会長】
(略)

【三村部会長】
 いえいえ、ありがとうございました。
 最後になりますけれども、安西副会長、お願いします。

【安西副部会長】
 今般の大震災からの復興、これはやはり我が国全体としてどうしていくかということは非常に大事な問題だということは当然だと思います。ただ、先般も申し上げたかもしれないんですけれども、1989年にベルリンの壁が崩壊した、それ以来20年たっておりまして、その当時からの20年間の間に既に仕込んでおかなければいけなかったであろうことというのが多々あるということは、むしろ子どもというより大人のほうがもう一回きちんと反省と言ったらあれですけど、特に教育関係者が持っていなければいけない考え方ではないかと思われます。生きる力でありますとか、強い子どもを育てていかなければいけないということですとか、多様性とか、グローバルということは、この20年間の間に仕込まれているべきことであって、もうその20年、ちょうど大学に行っていれば卒業するころなんですね。そういうことでありますから、今回の大震災はもちろん一つの大きなきっかけになると思いますけれども、やはり迅速に事を進めていかなければいけないということだと思われます。

 それはどういうことかと言いますと、この20年間の間に、特に企業等々は世の中の風を受けていますから、やはり変わらざるを得ないし、自分から変わっていくというところはあったと思うんですけれど、大学、学校、それから、申しわけないんですけど官庁、これはやはり変わる必要がそれほどないんですね。私も現場におりまして、実際に一教員として活動している限り、本当に変わっていく必要というのは、明日もう自分がなくなっちゃうんじゃないかって、これはないわけですよ。そういう中での、一体教育がこれからの時代にどういうふうに変わっていくことができるか。私自身は、もう端的に言えば、受け身の教育から能動的な学習へというのが一つの基本的な流れだと思いますけれども、もう迅速にと申し上げるのは、ある意味、制度改革をしていかないとなかなか追いつかないんじゃないか。

 一つは、前々から出ておりますけれども、初中に関しては、教育委員会とそれぞれの学校の権限の持ち方、これは人事権、あるいは予算権、運営権等々について、一体それぞれの学校――校長だけではなく、その学校の権限というのはどこまであるのかということについて、なかなか定かではない。市町村の教委が持っている部分と、都道府県の教委が持っている部分が、やっぱり錯綜している面もありますし、そういう中で、高木大臣からの第2期の教育振興基本計画の諮問についての最後の(1)、(2)、(3)を見ますと、全部がやはり自立していく子どもが大事だという、そういうことでありますけれども、一体大人が自立しているのかと。教育関係者が、本当に明日からこの学校がなくなってしまうんじゃないかという、そういう感覚を持って学校経営をするということはないわけで、いろんなことで縛りといいますか、活動が制限されておりまして、その中で、ある意味で普通にやっていけばいいことなので、そこをどういうふうに考えるか。一方で、校長先生として妙な人が来てしまうと――校長先生おられる前で申しわけないんですけど、これは権限が100%あると、教育ですから、もうめちゃくちゃになってしまうと思うんですね。ですから、何でもかんでも100%緩和していいと申し上げているわけではありません。ただ、やはり自己責任ということは、子どもたちだけに押しつけるのではなくて、大人の方もそういう考え方を持つような、そういう意識だけではなくて、制度的にもある程度そういうふうにしていかないといけないんじゃないか。これは地域主権、地方分権ということのベースにあるのではないかと思います。

 それから、大学につきましては、これは前々から申し上げておりますように、短大まで入れますと、大学と名のつくものは1,000余りあるわけで、ほかにも専門学校、専修学校等々があります。高等学校の問題も当然あります。そういう中で、やはり機能別分化、これは一言言いますと、すぐ序列をつけるのかと、こういうことを言われるのでありますけれども、そうではなくて、予算の構造もやはり機能によって別々にしなければいけないと思うんですね。今は、国立・私学って、それぞれでみんなべったり決まっているわけですけれども、そういうことを機能別分化も、長い間大学の自治のもとできっとやっていただけるだろうということで来ているんですけれども、大学関係のいろいろな委員会等々でも、常に大学全般の議論をするか、それとも、いわゆるトップレベルの大学の話をしているかと思えば、「いや、地域の小さな大学は」と、こういう話になるわけですね。そういう議論のやりとりを超えて、それぞれの機能を持った大学、学校が活力を自分たちで持てるような仕組みをつくらないと、もうもたないんじゃないかなというふうに自分としては思います。

 いろんなことで、大学も結局、それぞれの大学は非常に努力をされているんですけれども、総論としては、世界の大きな流れからは、どうしても東洋の島国において置いてきぼりを受けざるを得ないので、そこを超えて、やはりこの教育振興基本計画の中で、将来に向けて一つの土台をつくっていくんだとすれば、私は機能別分化ということが、今までも随分議論をしましたけれども、やはりポイントになるのではないかというふうに思います。高校の問題も、大学入試とかなり絡むので、そうなりますと、大学の在り方ということがかなりキーになってまいります。そうすると、本当の、いわゆる世界と闘いたいという大学と、地域で頑張っていきたいという大学、地域の核になっていきたいという大学を一緒くたに議論をし、一緒くたに予算編成でやるということはもう考えられないというふうに思います。他にもありますけれども、そういう意味での制度を本当に定量的に評価をしながら考えていかないといけない時代に来たのではないかと思っております。

 以上でございます。

【三村部会長】
 ありがとうございました。
 現在の教育、日本に対する危機意識、いろいろな観点から述べていただきまして、本当に私自身も参考になりました。ただ、これをどうまとめていくのかということは、いま一つ大きな課題になるかと思います。しかし、今回の教育振興基本計画が、そういう意味では非常に大事な時期でのまとめだと、こういうことだけははっきりしていると思っております。
 以上で議論を終わらせていただきたいと思います。本部会の審議状況については、適宜事務局または各分科会長等から各分科会等にもご報告いただくようによろしくお願いいたします。
 最後ですが、今後の日程について、事務局から連絡ください。

【森友教育改革推進室長】
 今後の日程につきましては、資料10でございますけれども、次回が7月4日月曜日14時から16時半、その次が7月8日金曜日15時から17時でございます。場所については、また追ってご連絡させていただきますが、会長からもありましたが、いずれもヒアリングを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【三村部会長】
 それでは、これで教育振興基本計画部会第4回を終わります。どうもありがとうございました。

お問い合わせ先
生涯学習政策局政策課教育改革推進室

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