現職の3学長にも預け金疑惑 1人は否定 『朝日新聞』2011年8月3日付

『朝日新聞』2011年8月3日付

現職の3学長にも預け金疑惑 1人は否定

 約60大学・短大の教授らによる不正経理疑惑で、出入り業者に研究費を預けていた疑いがある約330人のうち、3人が現在、東京農業大と日本女子大、東京家政大のそれぞれ学長の職にあることがわかった。預け行為を認めている学長もいて、東京農大は調査委員会を設けて実態解明に乗り出した。一方、日本女子大の学長は預け行為を否定している。

 実験器具などを大学に納入する精密機器卸会社(本社・東京都)の取引明細書によると、東京農大の大澤貫寿学長は、応用生物科学部長だった2003年9月までに少なくとも約728万円を預けていた。05年10月までに乗馬フィットネス機器(11万8125円)など約263万円を支出していた。明細書には大澤学長以外の同大教授の名もあり、同大は調査委員会を設けて調査を始めた。

 大澤学長は2日、大学を通じて「預け金にかかわっていた事実は存在する。深くおわび申し上げます」とコメントした。フィットネス機器は学生の健康維持のために購入したと説明。さらに「学内で研究費の適正使用を指導した08年以降は本学では預けはないと信じている」としている。

 東京家政大の木元幸一学長は1998年以前から少なくとも約848万円を預け、家政学部長だった06年2月までに使い切った。木元学長は大学を通じて「(預けてもいい)企業からの委託研究費だと思うが、通帳が見つからずはっきりしない」とした。

 日本女子大学の蟻川芳子学長は、副学長だった07年7月に保守費として約85万円を入金し、一部を08年度に繰り越して同年6月までにパソコンや実験器具など3点(約85万円)を購入していたという記載が明細書にあった。また、07年8月には、蟻川学長と卸会社社長が「預け金」の扱いを話し合ったと記載されていた。同社長は「残っていた預け金を整理しましょうという話をした」と説明している。

 これに対し、蟻川学長は大学を通じて「そんなことはなかった」と預け行為を否定。購入したことになっている物品は「卸会社から寄付されたもの」と説明した。また、同社長との話し合いについても「事実はない」と否定した。

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