被災地の大学卒業生、進路未定2割 昨年より悪化『朝日新聞』2011年8月4日付

『朝日新聞』2011年8月4日付

被災地の大学卒業生、進路未定2割 昨年より悪化

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県で、この春に4年制大学を卒業した人の2割は進学も就職も決まらなかった。文部科学省が4日に公表した学校基本調査でわかった。昨年より率、人数ともに悪くなっており、震災の影響がうかがえる。

 震災が起きた3月11日の時点では大半の人は進路が決まっていたと見られ、文科省は「来春の卒業者のほうが影響が大きいかもしれない」と懸念している。

 調査は5月1日現在の速報値。被災地を含めた新卒者約55万2800人すべての進路が明らかになるのは初めて。

 大学院などへの進学や就職が決まらず、一時的な仕事に就いてもいない人の割合は、全国平均が15.9%で、昨年よりわずかながら減ったのに対し、3県では19.7%で、2.5ポイント悪化した。人数も3県で約16%増えて3290人に達した。

 県別では、宮城が21.2%(前年比1.9ポイント増)で、全国で3番目の悪さ。岩手は5.3ポイントも悪化して15.4%。福島も2.6ポイント増えて18.2%になった。

 就職率の全国平均は61.6%。不況のため過去最大の下落幅を記録した昨年(60.8%)に比べればわずかに改善したが、引き続き厳しい状況にある。

 3県では宮城が1ポイント悪化の58.4%、福島が1.4ポイント悪化の64.2%。岩手は1.7ポイント改善して59.7%だったが、かわりに進学者が2ポイント減っている。

 文科省の担当者は「震災のために就職活動に困難をきたしたり、家計が苦しくなって大学院進学をあきらめたりした人が増えた可能性がある」と話す。

 文科省と厚生労働省が7月発表した就職率(91.0%)は就職希望者だけを母数にしているため、今回より高い率となっている。(花野雄太)

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com