名大など産学官連携、13年に複合材技術の開発拠点『日本経済新聞』2011年7月16日付

『日本経済新聞』2011年7月16日付

名大など産学官連携、13年に複合材技術の開発拠点

 名古屋大学が計画している次世代複合材技術確立支援センター(通称ナショナルコンポジットセンター)の整備事業が、国から補助金を受けて動き出す。事業規模は19億円で2013年に完成する。自動車や航空機、鉄道車両に採用が広がる炭素繊維複合材について、製造技術の実証評価では日本初の研究開発拠点となる。日本は成型加工で欧米に比べ大きく遅れており、産学官の連携で競争力を強化する。

 15日、国の補助金を得られる「イノベーション拠点立地支援事業」に採択された。中部経済産業局が同日発表した。資金の最大3分の2が国から補助される。

 名大内でセンターを立ち上げ、2平方メートル以上の部材成型が可能な大型成型機を導入。従来はドイツやフランスなど海外でしかできなかった実物大の大型部材の成型について試作・評価が可能になる。耐雷、耐火、耐炎の試験装置も設置する。

 センターには東レなど国内の大手素材メーカーに加え、航空機や自動車のメーカーも参加する予定。東京大学、名古屋工業大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、産業技術総合研究所なども加わり、産学官が一体となって開発を進める。

 炭素繊維複合材は軽量で強度に優れ、米ボーイングの新型旅客機「787」では重量比で50%使用されている。自動車や鉄道車両など利用範囲も広がるとみられ、各国が開発にしのぎを削っている。日本は素材では7割のシェアを握るが、成型分野では遅れていた。

 軽量性、耐久性に優れる炭素繊維複合材も、生産性や加工のしやすさには課題が残る。高効率かつ高品質の生産システムを確立し、日本の製造業の優位性を確保する。

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