発達障害の大学生ら5年で8倍超 日本学生支援機構調査 『下野新聞』2011年6月6日付

『下野新聞』2011年6月6日付

発達障害の大学生ら5年で8倍超 日本学生支援機構調査

 県内の17校 を含む全国の大学・短大・高等専門学校計1220校に在籍する発達障害の学生は2010年度に1064人に上り、調査を始めた5年前の8倍超になっている ことが、独立行政法人日本学生支援機構が5日までにまとめた調査で分かった。同機構は「発達障害について学校側の認識が深まった結果」とみている。一方、 発達障害の学生の就職率は3割弱と低迷しており、社会の入り口で苦戦している実態が浮き彫りになっている。

 調査によると、10年度の障害学生8810人のうち発達障害の診断がある学生は12・1%。5年前の2・6%から毎年上昇を続け、初めて10%を超えた。

 「診断書はないが、発達障害があることが推察され、教育上の配慮を行っている者」は1944人。診断書のある学生との合計は3008人で、全学生の約1000人に1人が該当する計算になる。

 3008人の内訳は高機能自閉症などが75・8%。注意欠陥多動性障害(ADHD)12・8%、学習障害(LD)11・4%と続く。

 学校数を見ると、診断書のある学生が在籍するのは324校で全体の26・6%。6・3%だった5年前から大幅に増えた。発達障害とみられる学生の在籍校と合わせると472校となり、全体の38・7%を占める。

 このうち432校は保護者との連携や履修方法などの支援に取り組んでいるほか、一部は休憩室の確保や講義録音許可など障害特性に合わせた授業のサポートを行っている。

 課題は「卒業後」だ。09年度に卒業した診断書のある発達障害学生90人の進路で最多は「就職でも進学でもない」の35・6%で、就職率は25・6%にとどまる。全学生の就職率61・2%との差は大きく、障害学生全体の就職率46・4%とも大きな開きがある。

 同機構は「大学は全入学者を教育して就労につなげる責任があるが、発達障害は見えにくく、まだまだ手探りの段階」と説明する。

 県内のある大学は「診断がないと就職の際に法的なサポートがなく、無職になるケースが多い」。診断のある学生が在籍する別の大学では「就労に関する相談体制が不十分。大学と外部機関の連携が必要」と訴えている。

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