山梨大医学部に支援室 避難妊婦に安心を『産経新聞』山梨版2011年4月6日付

『産経新聞』山梨版2011年4月6日付

山梨大医学部に支援室 避難妊婦に安心を

 東日本大震災や福島第1原発の事故で避難を余儀なくされ、山梨での出産を希望する被災地と周辺地域の妊婦を支援しようと、山梨大学医学部(中央市下河東)は「山梨県被災・避難妊婦支援室」を産婦人科内に設置した。支援室は分娩(ぶんべん)可能な県内15の医療機関の予約状況を把握し、県内での診療が必要と判断すれば適切な処置が可能な医療機関を選び紹介する。

 妊婦や家族はまず医療機関に診療の可否などを相談し、空きがないなどの理由で対応できない医療機関が支援室の連絡先を伝える。支援室は被災の状況や緊急性などを総合的に判断し、産科診療の必要性を判断、紹介するという仕組み。支援室には助産師が平日午後1~3時に常駐する。

 山梨大医学部付属病院の平田修司分娩部長によると、被災地の妊婦らの問い合わせが県や県内の医療機関に多く寄せられ、3月31日現在で被災、避難した妊婦31人が県内の医療機関で診療を受けている。

 円滑な受け入れのため、支援室は15の総合病院やクリニックの予約状況を週1回程度調べ、県内の産科医療の“余力”の把握に努める。県内の避難所にいる妊婦の数や状況も県福祉保健部と協力して調べ、受診していない妊婦がいれば受診を促す。

 出産予定時期によっては分娩予約がいっぱいで県内の妊婦を含めて受け付けを締め切っている医療機関もあり、「東京の妊婦で放射線の恐れがあるから山梨での分娩を希望」といったケースでは受け入れ困難と伝えるという。平田部長は「全ての方を無制限に受け入れるのは困難。重篤な妊婦を優先したい」と話している。

 開設は今月1日から当分の間とし、山梨産婦人科医会と山梨産科婦人科学会、県が協力して運営、山梨大医学部が実務を担当する。

 山梨産婦人科医会の杉田茂仁会長は「妊婦さんの“たらい回し”を防ごうと大学を中心にこうした組織ができた。被災、避難した妊婦さんが気持ちよくお産できる環境を整えたい」と意義を説明。山梨大医学部付属病院の島田眞路(しんじ)院長も「支援室が避難してきた妊婦のお役に立てれば幸いだ」としている。

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