救命率向上へ、岐阜大が新システム開発『読売新聞』岐阜版2011年2月2日付

『読売新聞』岐阜版2011年2月2日付

救命率向上へ、岐阜大が新システム開発

 岐阜大学は1日、患者の病歴などの医療情報を記録させた「メディカカード」(IC患者カード)と救急車内の携帯端末を活用し、救急救命率向上を目指す「緊急医療情報システム(GEMITS)」の開発成果発表会を同大で開いた。救急患者のたらい回し防止などが目的で、2011年度から県内で一部実用化を目指す。(倉橋章)

 GEMITSでは、病院が発行したカードに記録された患者の血液型や病歴などの情報を救急隊員が携帯端末で読み取り、現在の症状と合わせて統合センターに送信。センターは、医療スタッフや設備などの病院情報収集システムと突き合わせて最適な病院を選択し、救急車に連絡する仕組みだ。

 発表会は、脳梗塞の救急患者をGEMITSを利用して救急車で病院に搬送する想定で実施した。救急隊員が携帯端末を使って患者の症状などを打ち込み、センターに送信すると、瞬時に最適な搬送先3件が表示され、搬送時間8分と最も近い岐阜大病院に搬送した。

 開発責任者の小倉真治・岐阜大教授(救急医療)は「救急搬送にかかる時間が10分短縮できる。患者は最適な病院で専門医に診てもらうため、確実に救命率は上がる」と説明、「システムはまだ一里塚。来年度中に一部実用化を図りたい」と話した。

 システム開発は、09年度から4年間の予定で国が同大に委託した「車載ITを活用した緊急医療体制の構築」事業。予算は約7億円。同大と民間企業など10社・機関がメンバーとして開発を進めている。

 今のところ、県内の9病院がシステムに加盟し、4消防本部で救急車に携帯端末を搭載している。今後、県内の全救急車に携帯端末を搭載し、加盟する病院数を増やしていく。

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