就職内定率:大学生57.6%「就職氷河期」下回る『毎日新聞』 2010年11月16日付

『毎日新聞』 2010年11月16日付

就職内定率:大学生57.6%「就職氷河期」下回る

 大学生の就職難が社会問題化している。厚生労働省と文部科学省が16日、正式発表した10月1日現在の内定率は57.6%(前年同月比4.9ポイント減)で、「就職氷河期」と言われた03年(60.2%)を下回り、調査を始めた96年以降最低を更新した。不況などを背景に企業が新卒採用を控え、それに伴い活動の早期化・長期化を余儀なくされる学生は疲弊。企業側は事態の改善に動き始めた。【井上俊樹、市川明代】

 多くの学生は3年生の夏休みに企業でのインターンシップ(就業体験)を始めており、今も就職先が決まっていない学生は1年以上を就職活動に費やしていることになる。この間、学生は企業説明会や面接などを優先し、講義やゼミを欠席しがちになる。このため、大学側は「専門教育が成り立たない」と悲鳴を上げている。

 全国の国公私立大や専門学校で構成する「就職問題懇談会」が6月下旬に実施した調査(1168校が回答)では、就職活動が前年度より「長期化している」という回答が7割に達した。一方、就職活動による授業・講義への支障が「5年前より大きくなった」と答えた大学は3割に上る。

 就職活動のために、学生が海外留学をためらっているという指摘もあり、グローバル人材を求める企業側も是正に動き始めた。先陣を切ったのが商社の業界団体「日本貿易会」で、10月、13年春入社の採用活動から4カ月程度遅らせる方針を決定。日本経済団体連合会(経団連)も是正に向けた検討を始めた。

 大学生の就職活動は10月1日に開設される「リクナビ」や「マイナビ」といった就職情報サイトにエントリーすることで本格的に始まるが、就職情報会社でつくる「日本就職情報出版懇話会」も来年から開設時期を1カ月遅らせることにした。

 こうした経済界の動きを大学側は「改善に向けた着実な一歩」(国立大学協会)と歓迎する。商社だけの試みに終わらず経済界全体に広がるかどうかが実効性のカギを握る。

 ◇高校生は40.6%

 厚生労働省は16日、来春卒業見込みの高校生の就職内定率(9月末現在)を発表した。内定率は40.6%で、過去最悪の減少幅だった前年同期を3.0ポイント上回ったが、有効求人倍率は0.87倍(前年同期比0.02ポイント減)で依然として厳しい状況が続いている。

 同省によると、就職が内定した高校生は7万1000人、求職者は17万5000人で、内定率は男子46.3%(同3.7ポイント増)、女子33.0%(同1.7ポイント増)。都道府県別では沖縄(9.0%)▽北海道(17.2%)▽宮城(27.5%)などで特に低かった。

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