「人材の育成・活用に関する研究会」【セッション1】現状把握 第2回会合2010年10月13日(水)

http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk090/zk090_02.htm

「人材の育成・活用に関する研究会」
【セッション1】現状把握 第2回会合
2010年10月13日(水) 14:00~16:00
於: 財務省4階 西456「第1会議室」

【セッション1】現状把握
第2回会合テーマ: 人材の採用・活用サイドにおける問題点・成功例
(議事要旨は、後日掲載致します。)

◆発表 : 「競争力人材、グローバル人材の育成と活用-産業の国際競争力強化のために-」
発表者 : 井上洋 社団法人日本経済団体連合会 社会広報本部長
発表資料[266kb,PDF]

◆発表 : 「3ヵ年育成プログラム」
発表者 : 石井健明 日本電産株式会社 執行役員人事部長
発表資料[657kb,PDF]

◆発表 : 「総合商社の人材採用・育成について」
発表者 : 藤田潔 三菱商事株式会社 人事部長
発表資料[250kb,PDF]

◆発表 : 「野村グループにおける人材育成・活用の取組み」
発表者 : 渡辺章人 野村ホールディングス株式会社 グローバルHR担当常務執行役員
発表資料[3.39mb,PDF]

(発表) : 「教育・科学技術施策について(データ的視座からの一考察)」
神田眞人 財務省主計局主計官(文部科学係担当)
発表資料[2.43mb,PDF]

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議事要旨

(1) 発表 「競争力人材、グローバル人材の育成と活用―産業の国際競争力強化のために―」
井上洋 社団法人日本経済団体連合会 社会広報本部長

・ 人口減少下における人材問題は優先順位の高い問題。

・ 経団連教育問題委員会は企業の採用サイドからの教育全般への提言を、また、産業問題委員会は日本の潜在成長力である労働やイノベーション伸長のための人材育成の役割についてアプローチを行っている。

・ 企業は、生産年齢人口の減少の中で、急激な環境変化に対応しつつ競争力の強化に向けた付加価値の高い財・サービスを創出できる人材、また、産業活性化のために成長するアジア各国との産業面での連携強化が不可欠であることからこれに資する人材を求めている。

・ 国内の人材育成については、①学校教育の充実、②実践教育の充実と産学連携の強化、③キャリア教育の充実、④大学の機能の多様化が必要である。

①については、就学段階である程度多様な素養・能力を習得し、卒業して欲しいと考えている。例えば、人材像の要素としては「自主性」、「積極性」、「進取の精神」、「柔軟な発想と深い考察力」、「コミュニケーション力」、「国際的な視野と多様性の受容」等であり、能力・資質としては「外国語能力」、「英語力を含む国際的な視野」、「物事を考察する際の基礎となる思考力」、「教養」、「多様な知識・経験」等である。

②については、産業界が就学後の人材を引き継ぐ場であることから、大学における人材教育・育成に対し、産業界が支援を行うという視点に立脚することが重要であると考えている。

③については、キャリア教育は大学の時期に開始しても難しいと一般的にいわれていることもあり小学校から行うべきである。この時期からより具体的な職業イメージを持たせ、その上で就職活動を行わせることが重要ではないかと考える。このためには、企業のOB・OGを活用することが考えられる。企業OB・OGの活用により、企業の求める人材、ニーズが学校へ伝わるのではないかと思う。

④については、大学進学率が50%を超える中で、大学の役割を一層重視していくべきである。このためには、各大学が目指す方向を大学毎に明確化し機能を分化することが必要。例えば、大学の機能を「世界のトップ水準の研究・教育者の育成を行う先端的研究・高度教育型」、「医療関係者や法律・会計等の資格者、技術者などの専門家を養成するプロフェッショナル養成型」、「公務、民間も含む総合職を養成するジェネラリスト養成型」、「地域振興などを念頭に置いた地域密着型」のように分化すべきである。

・ 各国関係の近年の一層の緊密化に鑑み、バリュー・チェーン各所で活躍できる人材が必要である。そのためには、アジアやBRICs等を含め、世界で活躍できる人材を国籍を問わず採用し育成していくという視点が必要である。これには外国人材の受入と定着、外国人材の国内企業への就職促進のサポート体制の強化が欠かせない。

(2) 発表 「3ヵ年育成プログラム」
石井健明 日本電産株式会社 執行役員人事部長

・ 日本電産では階層別に研修を実施している。例えば、入社後2~5年目はコミュニケーション力、6年目は企画力等、管理職クラスでは統率力、指導力等、部長クラスでは戦略の実現力等であるが、とりわけ入社後3年間は重要であると考え、「3ヵ年育成プログラム」という研修を実施している。これは挑戦する意欲が旺盛で行動できる人の育成を目標としている。社会人基礎力である「アクション」、「シンキング」、「チームワーク」の醸成は学校教育ではそれほど重点をおいていないと考えているが、これらは将来の専門性、指導力の発揮に欠かせないものであり、これらの醸成を目的に実施している。このプログラムは具体的に、現場での実習、集合型研修を経て、3年目に問題認識力、論理的思考力、コミュニケーション力、発表能力の向上、達成感の獲得を企図したプレゼンテーションを行っている。当該プレゼンテーションで提案したテーマを実際に業務に活かし、「学び」を「実践」で定着させることを通して、社会人基礎力を育成している。

(3) 発表 「総合商社の人材採用・育成について」
藤田潔 三菱商事株式会社 人事部長

・ 人材採用時に注視している基本的資質として、世界に通用する人間としての高い倫理観としての「信」、最後までやり抜き、結果を出す力である「力」、的確なソリューションを構築する知的能力である「知」が挙げられる。「知」である概念的・分析的思考力は一定水準を備えている学生が多いことから「信」と「力」を基本的資質として重視している。

・ 「信」、「力」を重視していることに鑑み、学校教育に求める人材育成としては、困難を乗り越える経験、自己の内省、異文化対応力、対人関係構築力を醸成するための機会の提供が挙げられる。

・ 新卒・既卒採用については、新卒者採用に競争力があれば、応募母集団の質は高く(既卒者は既に採用市場に出ている者のみ)、新卒者採用に競争力のある大企業は、新卒採用が中心でじっくり育成することが可能である。一方、競争力のない中小企業は既卒採用中心となる傾向にある。但し、中小企業も既卒者採用により規模を拡大した後は新卒採用中心へ移行するという流れがある。
新卒・既卒の各々に利点があり、新卒者は初期教育により企業独自の価値観の共有が容易であり、既卒者は既存のキャリア蓄積により即戦力となれる。
当社では新卒採用中心であるが、本社、子会社、海外拠点、事業投資先への出向を重ねつつ、階層毎のOJTを行い、キャリア形成を図っている。

(4) 発表 「野村グループにおける人材育成・活用の取組み」
渡辺章人 野村ホールディングス株式会社 グローバルHR担当常務執行役員

・ 日本の金融資本市場の相対的なウェート低下に対応し、海外での業務基盤を強化すべく、野村は2年前にリーマン・ブラザーズのアジアと欧州の人員を統合した。これに伴い、法人取引部門においては、人事制度、報酬体系、採用・研修等を大きく変えてきている。採用面では、日本以外でも新卒採用を増やしており、新卒・中途の合計採用数では海外が日本を大きく上回る。こうした状況を受けて、人材育成面でも、特に法人取引部門では日本人・外国人を問わない共通の枠組みが必要とされている。グループとしてのValue(価値観)の再確認から始めて、世界共通の評価基準の設定、地域毎の研修だけでなくグローバルに統一した研修プログラムの実施、集合研修に加えてグローバルに運営している部門ごとの研修の強化、海外留学制度の継続等に取り組んでいる。また、国籍、性別等を問わず、多様な人材が活躍できるための文化の醸成、ネットワーク作りをサポートするための組織を立ち上げている。

(5) 発表 「教育・科学技術施策について(データ的視座からの一考察)」
神田眞人 財務省主計局主計官(文部科学係担当)

(後日掲載)

(6) 質疑応答, 自由討論
・ 海外留学、海外渡航経験が企業の採用時に評価対象になるか。
→ やはり人物本意。但し、英語力が非常に重要なスキルであることは確か。

・ 大学での専門性や成績は企業の採用時に評価対象になるか。
→ 部門毎に評価基準が異なるため一概にいえないが、技術等理系の専門性は勘案することがあるし、財務系職種においても成績を評価することがある。しかしながら、成績優秀者が必ずしも社会人基礎力が高い訳ではない。

・ 近年の学生は苦難を乗り越えた経験が僅少で内向き志向。競争力が劣後していないか。
→ これは学生だけの問題ではなく、日本社会の現況を現わしているのではないか。内向き志向の学生が増加基調にあるという事象は、これまで日本全体が人の育成について危機感を持たず、人材のみが資源であるという視点を持たずに過ごしてきた所以である。

・ 人材の育成について、企業が求める育成の在り方を企業側から教育機関へ伝える手段はあるか。
→ (各企業)求める人材について、企業の要望を伝える機会、チャネルは持っていない。
→ 経団連では、企業が求める人材について、要望を大学側に伝えるチャネルをつくるべく模索しているところである。

(以上)

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