『読売新聞』香川版2010年11月9日付
医師育成 香大に拠点
6病院連携実習増
地域の医療を担う人材を育成する「地域医療教育支援センター」が、県の寄付で香川大医学部付属病院に設置され、来年4月に本格的に始動する。県内の病院と連携し、医学部生に現場を体験してもらう実習などに取り組む計画で、センター長には大森浩二・同大医学部准教授が就任。他のスタッフも決定し、9日に浜田知事と一井真比古学長が、運営などに関する協定を締結する。
支援センターの設置は、地域医療の課題解決に向け、県が昨年12月に策定した今年度から4か年の再生計画の一環。医師確保などが目的で、県が同大学に総額1億4000万円を寄付し、今年7月につくられた。
来年4月から、新しい科目「地域医療実習」をスタート。医学部5、6年生の全員を対象に、県内の医療機関で5年生は1週間、6年生は計12週間、実習する。同大学ではこれまで、同様の実習は半日から1日にとどまっていたといい、学生が現場で学ぶ機会を大幅に増やす。現在、三豊総合病院(観音寺市)など県内の6病院で学生を受け入れることが決まっており、同大学は今後、さらに増やしたいとしている。
また、同大学医学部は、地域医療再生基金のうち2億円を活用し、拠点施設「香川地域医療・キャリアサポートセンター(仮称)」の建設を計画、来年度中の完成を目指している。
同大学はこれらの組織、施設を軸に、人材育成のための包括的な支援体制を整備する考えで、研修プログラムの研究開発などにも取り組むとしている。
支援センターは「入学から卒業前、卒業後にわたる教育のほか、医師や看護師、検査技師など医療にかかわるすべての人材の教育、サポートなどを強化していきたい」としている。県医務国保課は「人材の地域間の偏在を是正するとともに、県内の医師確保、育成、定着につなげていきたい」と期待している。