『河北新報』2010年11月2日付
地域の医師や潜在看護師の研修支援 山形大が新制度
地域の医療機関に勤務する医師の専門医・認定医資格の取得や離職した看護師の復職を後押しするため、山形大医学部は1日、二つの研修制度を新設し、研修を受ける医師・看護師の募集を始めた。
専門資格の取得を支援するのは、地域医療システム講座内に新設した「高度医療人研修センター」。地域病院に籍を置いたまま山形大病院(山形市)に勤務し、研修を受けられる。従来は病院を退職し、医局に入る必要があり、地域病院側には「引き抜き」の懸念や抵抗感があった。
特定の病気や治療方法に関する医師の知識や技術を認証する専門医・認定医資格は、各分野の学会が指定する病院で一定期間の勤務経験を必要とする。山大病院は55資格の指定を受けている。
山下英俊医学部長は1日の記者会見で「地方の医師不足解消に即効性はないかもしれないが、地元定着につながるよう期待したい」と述べた。
一方、資格を持ちながら医療現場を離れている「潜在看護師」の復職を支援するリフレッシュ研修制度も医学部内に設けた。同趣旨の既存制度に比べ、非常勤職員として山大病院で働きながら研修を受けられる点が特徴で、経済面での不安を解消する。
いずれの研修制度も、医学部や山大病院の現場でマンツーマンに近い状態で指導を受け、内容や期間は本人の経験や希望などに応じて決める。募集枠や募集期限も設けない。
山下医学部長は「高齢化と技術の進展で、医療需要は質も量も伸びている。大学と地域医療機関が人材を取り合うのではなく、大学の教育機能の充実を通じ、地域への人材供給機能を果たしていきたい」と強調した。