『東京新聞』2010年10月22日付
杉並師範館 解散へ 区「必要教員数確保」
東京都杉並区は、二〇〇六年度に全国の市区町村で初めて開設した小学校教員の養成塾「杉並師範館」を、現在の五期生二十六人が卒塾する来年春を最後に、解散する方針を固めた。養成と採用を一体化したのが特色だったが、一二年春からは、区独自の採用を見送るため。区は「少人数学級の実現などに必要な教員数の確保ができた」としている。
師範館は、都道府県と政令指定都市が行っていた教員採用が特区制度で認められれば、市区町村でも独自に可能となったことを受けて設置された。小学校教員の免許取得者や取得見込み者が一年間、講義や実習を受ける。修了後は、区立小学校に採用される。
本年度末に卒塾する五期生も含めて約百二十人の教員が養成され、既に四十三の全区立小に一~五人の卒塾生が配置されている。区では「(自前教員を増やすという)一定の役割は果たした」と認識。区が負担する教育給与が年間約五億円にも上り、財政負担も課題となっていた。著名財界人らが名を連ねる理事会の了承も既に取り付けており、解散方針は今月末の「杉並師範館あり方検討委員会」で正式に決定する。
師範館は、山田宏・前区長の目玉施策の一つで、各地にできた教員塾のモデルとなった。一方で、区議会などからは「採用権を握る行政による教員養成は、無批判な教員を生み出すことにつながる」との批判もあった。