『中国新聞』2010年7月12日付
広島大が家庭医養成に本腰
広島大病院(広島市南区)は本年度、子どもから高齢者までの幅広い病気の診察能力を持つ「家庭医療専門医」を育てる研修プログラムをスタートさせた。10日に発足させる「広島総合診療・地域医療懇話会」で医学生や研修医に紹介し、参加を呼び掛ける。次代の地域医療の担い手育成に力を入れる。
同病院の総合内科・総合診療科が日本プライマリ・ケア連合学会の認定を受けて設けたプログラムの期間は3年。大学病院と連携しながら、地域の中小病院や診療所などで実習を重ねるのが特徴だ。内科にとどまらず、小児科、緩和ケア、外科、整形外科、皮膚科など、地域で求められる病気の診断や治療を幅広く学ぶ。
医学部卒業後2年間の初期研修を終えた若手医師や、中高年になって地域での開業を志す専門医の参加を想定している。
プログラムの責任者は、学会が認定した家庭医療専門医第1期生の横林賢一医師(31)。田妻進教授(総合診療医学)とともに4月から既に男性医師1人の指導をしている。横林医師は「患者の年齢や性別、病気の種類にかかわらず何でも相談にのり、家族や地域の事情にも配慮できる家庭医の育成を目指したい」と意気込む。
学会の認定は3年前に始まり、中国地方では広島大病院を含めた12病院がプログラムを設けた。ただ、医師の高度医療志向は根強く、受講者のいない病院もある。一方で、中山間地域など医師が少ない地域では、一人の医師に幅広い病気の診察能力が要求される。
懇話会は、広島大病院などで総合診療や地域医療に携わる医師らで発足させる。