山形大医学部、新薬など「評価学講座」設置『山形新聞』2010年07月06日付

『山形新聞』2010年07月06日付

山形大医学部、新薬など「評価学講座」設置

山形大医学部は5日、同大大学院医学系研究科の生命環境医科学専攻に、医薬品医療機器評価学講座を設置したと発表した。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と連携し、医薬品の開発や承認審査、市販後の安全対策に活躍できる人材を養成するのが狙いだ。医学系大学院では国内初だという。

同学部の説明によると、日本の新薬開発力は世界3位だが、市場シェアは縮小し続けている。また、他国で最初に発売された新薬や機器が日本で承認されるまで長い時間がかかる「ドラッグ・ラグ」「デバイス・ラグ」も問題視されており、その原因の一つとして、治験や審査にあたる人材不足が指摘されている。

国は2007年、「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」を策定。ことし6月に閣議決定された「新成長戦略」でも、日本発の革新的な医薬品などの研究開発推進が盛り込まれている。これらを背景に、医薬品・医療機器の有効性と安全性の評価に関して、体系的な研究・教育が求められていた。

PMDAで安全管理監を務めていた松田勉氏(51)が7月1日付で教授に就任、講座を担当する。松田教授は「薬には必ず副作用があり、効き方にも個人差がある。この学問は医薬品などの有効性・安全性に関して最も妥当な予測・評価・判断をする科学だ」とし「最適な医療を提供するために不可欠」と強調している。

講座ではPMDAと連携しながら、適切な臨床研究・治験の在り方や人材育成プログラムの開発、副作用のリスク研究などを進める考えで、10月にスタートする方針。山下英俊医学部長は「せっかくの薬が必要としている人の手元に届かない状況がある。学問として医薬品・医療機器の安全性を科学的に研究・教育していきたい」と話している。

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