山岳の気候変動解明へ 3国立大連携研究『中日新聞』長野版2010年6月13日付

『中日新聞』長野版2010年6月13日付

山岳の気候変動解明へ 3国立大連携研究

北アルプスを中心とする中部山岳地域の気候変動を解明するため、同地域に研究拠点を持つ信州大、岐阜大、筑波大の国立3大学が、共同の研究機構を設立し、連携事業「地球環境再生プログラム」に乗り出した。諏訪市の信州大山岳科学総合研究所山地水環境教育研究センターで12日、テーマごとに4グループが取り組む研究内容や手法などを確認し、本格的に事業をスタートさせた。

5カ年計画で気象や動植物の植生の変化などを探り、温暖化防止に役立てたい考え。3大学の研究拠点や蓄積データを活用して調査研究を進める。山岳地域に焦点をあてた気候変動の本格的な調査は国内で初めて。

3大学の中堅、若手研究者72人が携わり、年度ごとに研究成果の報告会を開き、報告書にまとめて文部科学省に提出する。初年度の事業費は8700万円。

研究テーマは▽気候変動▽水循環・物質循環変動▽炭素循環変動▽生態系変動-の4つ。動植物の中長期的な生態変化や気候変動による水質と土砂災害への影響、標高差による高山生物の分布変化などを調べる。

同機構長の沼田治・筑波大菅平高原実験センター長は「気候変動の実態解明により、生物多様性の保全につなげたい」と述べた。
 (宿谷紀子)

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