中小2500社、就活サイト開設 ミスマッチ解消へ『読売新聞』 2010年5月15日付

『読売新聞』 2010年5月15日付

中小2500社、就活サイト開設
ミスマッチ解消へ

経済産業省が日本商工会議所と共同で、来春卒業予定で就職を希望する大学生と、中小企業の採用活動を仲介することが15日、明らかになった。専用サイトを18日に開設する。厳しい就職戦線にのぞむ学生と、採用活動にコストをかけられずに人材不足に陥っている中小企業の橋渡しをする“ネット上の合同説明会”ともいえ、雇用のミスマッチの解消を目指す。

交通費ゼロの“合同説明会”

開設するサイトは「ドリーム・マッチ プロジェクト」で、リクルートが運営する。学生が希望する業種や勤務地などを登録すると、条件に合う中小企業が表示され、会社説明会の案内などがメールで送られてくる。中小企業の社長が上京する際に学生と面談することなども可能になる。大手企業の内定がほぼ出そろう5月以降、本格化する中小企業の採用活動をバックアップする。

大学生が、出身地でない地域に「Iターン」や「Jターン」就職する場合、企業の情報を集める手段は限られている。各地の労働局が行う合同説明会などに参加するには、交通費や宿泊費がかかり、各社の話をじっくり聞くことも難しい。「移動の時間がかかり、掛け持ちが難しい」との声も多い。

開設されるサイトを活用すれば、例えば札幌や福岡などにある複数の企業の情報を、都内の自宅にいたまま交通費をかけずに入手できる。検索が可能な企業は、社員300人以下の中小企業2500社程度を目指しており、登録料は、学生、中小企業とも無料だ。来年1月までの開設期間中、1000人の内定を目指す。

就職戦線は、景気低迷で学生の大手志向、安定志向が高まっているとされる。このためリクルートは、「昨年の就職活動の厳しさを見ていた学生は活動の対象を広げるとみられ、中小企業との接点を提供して選択肢を増やす」ことを狙う。手始めに、リクルートの就職活動サービスを利用する年間約60万人の学生を誘導し、中小企業との「出会いの場」を提供してミスマッチの解消を目指す。

厚生労働省などによると、今年春に大学を卒業した学生の就職内定率は、2月時点で80・0%にとどまる。前年同期を6・3ポイント下回り、同時期としては2000年以降、過去最悪になっている。

雇用のミスマッチ 学生らの「就きたい仕事」と、企業側の「欲しい人材」の条件がかみ合わないこと。リクルートによると、来春新卒予定の大学生・院生の求人倍率は、社員5000人以上の大企業で0・47倍なのに対し、中小企業は4・41倍で人手不足が深刻だ。中小企業が求人情報を積極的に出さないことと、学生側が仕事内容ではなく、中小企業への就職を最初から敬遠するケースもあるとされる。

 

Proudly powered by WordPress   Premium Style Theme by www.gopiplus.com