『日本経済新聞』2010年4月15日付
新大など日本海側11大学 米大とバイオ分野技術移転で提携
新潟大学や金沢大学、山形大学など日本海側にある11大学と米ニューヨーク州立大学が、バイオ分野の技術移転などで提携する。技術移転機関(TLO)などが目利きした各大学の特許を共通のインターネットサイトで公開し、日米の企業に紹介して事業化するほか、大学間の共同研究や人材交流を進める。
日本海側11大学と新潟TLO、金沢大学ティ・エル・オーが参加する日本海地域大学イノベーション技術移転機能(KUTLO―NITT)がこのほど、ニューヨーク州立大との間で提携の覚書を交わした。
5月7日に同州立大で記念式典を開き、活動を始める。同州立大はニューヨーク州内に64のキャンパスを持つ米国有数の大規模大学。
このうちフレドニア校が同州立大側の窓口として技術情報の収集や日本側との調整にあたる。各大学が持つ創薬や医療などバイオ分野の特許のうち、事業化に有望なものを共通のインターネットサイトで公開する。
日本側はKUTLO―NITTに所属する製薬会社出身者ら専門家が目利きした50ほどの特許を取り上げる予定。また、日米の企業にそれぞれの特許を紹介し、国境をまたぐ技術移転につなげる。日米間の共同研究や人材の交流も進める。
KUTLO―NITTは各大学の委託を受けて、主にバイオ分野の技術移転を促す機関。経済産業省の支援を受けて2008年に設立した。参加している11大学は計約3000人のバイオ研究者を抱える。
地方大学から企業への技術移転を進めるために、複数の大学が連携して業務を効率化。海外の大学とも組み技術移転の新しい仕組みをつくる狙い。